2013年8月19日月曜日

中之作へ

日曜日は日曜日らしく――。二つ、三つ、目の前に迫っている“締め切り”をわきにおいて、カミサンが見たいという中之作の古民家を訪ねた=写真。築200年というから、江戸時代後期に建てられた。地震と津波被害に遭い、解体される運命にあったのを、建築士が買い取り、未来へ残すことにした。

そのためのNPO法人「中之作プロジェクト」が生まれた。土壁塗りや掃除といった市民参加のワークショップなどをからめながら、修復事業を進めている。訪ねたときには周辺の風景写真展が開かれていた。

中之作は海食崖に囲まれた漁港で、古くは商港としても栄えた。『新しいいわきの歴史』(いわき地域学會)によると、西国・徳島の斎田塩は銚子・那珂湊経由で中之作に荷揚げされた。中之作は福島県の中通りとハマを結ぶ、いわゆる「塩の道」の出発点でもあった。

古民家は港の真ん前に立っていた。2階建てだ。持ち主の厚意で、狭い箱階段を利用して2階に上がった。天井が低い。窓から海が見える。斎田塩を積んで入港する和船はもちろん見えなかったが、よくぞ津波に耐えたものだと思った。

中之作は、沖防波堤などの港湾施設が功を奏して、ほかのハマよりは被害が少なくてすんだ。津波が、一気にではなくじわじわ来たのだとか。古民家は床上まで浸水した。

わが家から中之作へは海岸そばの旧道を利用して出かけた。沼ノ内~薄磯~豊間~江名と進んだ。薄磯と豊間は依然として見る影もない。その先で出合った一筋の希望の光だ。「塩の道」という歴史・民俗軸を加えた再生事業になるとおもしろい。

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