2013年8月4日日曜日

クマ騒動

イノシシを目撃したことはない。が、夏井川渓谷でひり出されたばかりの糞=写真=を見たことはある。黒い碁石をやわらかくして重ねたような感じだった。二つに割れた丸い足跡もよく見かける。わが埴生の宿の無量庵でも、ときどき庭や畑がラッセルされる。

溪谷の下流、小川町西小川字南ノ根地内の路上で8月1日夜8時過ぎ、ホタルを見に来た夫婦が体長約1メートルの「クマ」を目撃し、いわき中央署に通報した。翌2日の福島民報は社会面に「いわきで熊1頭を目撃」のベタ記事を載せた。クマ? まさかイノシシだろう――が、そのときの反応だった。

同じ日の夕刊・いわき民報。目撃した夫婦が「車両のライトで照らしたところ、約20メートル離れたところにいた。その後、クマは南側の山林に入っていった」。ライトで照らして見たのなら、やはりクマか。

にしても、南ノ根は夏井川の右岸(平野部)にある。左岸に連なる二ツ箭山の方なら双葉郡まですぐだから、そちらで目撃されたクマが南下して来ても不思議ではない。右岸までの間に人家が密集している。もっと目撃情報があってもいいはずだが、ない。

謎はすぐ解けた。3日の福島民報に「熊目撃情報はイノシシと判明」のベタ記事が載った。市の担当者や鳥獣保護員が付近を確認し、足跡などからイノシシと推測した、とある。やはり、イノシシだった。夜はライトで照らしても黒く見えるから、クマと誤認したのだろう。3・11後、阿武隈のイノシシは増えている――それを裏づける一例だ。

0 件のコメント: