2013年8月7日水曜日

子ウサギの死

夏井川渓谷を貫く県道の路肩でノウサギの子が死んでいた=写真。隠れ里のような小集落・牛小川の、わが埴生の宿(無量庵)の真向かいだ。車にはねられたのだろうか。

阪神・淡路大震災が起きた年の夏から、義父が建てた無量庵で週末を過ごすようになった。ふだんは人間が充満する街で暮らし、土・日は自然が充満する山里に身をおく。今はめったに泊まらないが、“週末別居”で夫婦ともに息抜きができたような感覚がある。

通い始めて18年、何度も「路上の死」に遭遇した。フクロウ、タヌキ、テン、イタチ、ハクビシン、ノウサギ、コジュケイ、……。子ウサギは初めてだ。

無量庵の下の空き地にノウサギが現れるのは、置き土産(糞)でわかる。テンも濡れ縁に糞を残す。部屋の隅を動くものがいると思ったら、ノネズミだった。ノネズミもまた畳の上に糞を残す。森にはリスがすむ。ムササビがすむ。イノシシもむろん、いる。ほかには鳥、虫、魚たち。頂点に君臨するのはやはりイノシシだろう。

渓谷では、二足歩行をするヒトはむしろ少数派だ。そのことを、「路上の死」が教えてくれる。ほんとうは生きものに囲まれて暮らしているのだ、ヒトは自然の間借り人なのだ、と。にしても、子ウサギの死はいたましい。

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

ふだんは人間が充満する街で暮らし、土・日は自然が充満する山里に身をおく。

うらやましい生活です!

それにしても、動物の生態で我にかえる一瞬。大きな営みも小さな営みも連関してるのを気づかせられました。 ありがとうございます。