2013年9月14日土曜日

トウガンを漬ける

平・北白土の篤農家塩脩一さんの家を訪ねたら、帰りにトウガン(冬瓜)とトマトをいただいた。トウガンは煮物が定番。それでも食べきれない。糠漬けにするために皮をむき、種とワタを取った=真。初挑戦だ。

糠漬けはカブ、キュウリ、大根、ナス、ニンジンといったところが主流だろう。鬼平流にウドを漬けたこともある。が、ミョウガ同様、香りの強い山菜はなかなかうまくいかない。で、結果的に癖もなく、早く漬かるウリ科のものが多くなった。今は毎日、キュウリが食卓にのぼる。

トウガンもウリ科の植物、まずまずの味だった。白く硬い生のトウガンが、乳酸菌と塩分のはたらきによって一夜でしんなりする。かすかだがメロンのような甘みがある。これは発見だった。初めて漬かったトウガンを酒のさかなに出したら、東京からやって来た客人がうなった。

その日、9月1日現在の現住人口で郡山市が初めていわき市を抜いた、と新聞が報じていた。昭和41(1966)年に14市町村が合併していわき市が誕生した。以来、半世紀近く、いわきは仙台に次いで東北で2番目の人口を維持してきた。小欄で「今年のうちに『東北3位』に後退するのではないか」と書いたのが8月中旬。あっという間の交代劇だ。

「東北2位」のいわきを取材し続けた人間には一抹の寂しさがあった。今もある。が、その夜は客人との会話と、トウガンの糠漬けと、アルコールとで、たちまち寂しさがとろけた。

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