2013年9月21日土曜日

地震の怖さが身に染みた

いわき市の南部を震源とするきのう(9月20日)の地震では、どの家でもと言っていいくらいに小さな被害が出た。わが家では食器棚の観音開きの戸が開いて=写真、中から皿やコップが飛びだした。割れたのは小さな額縁のガラスや陶器の人形も含めて数個だった。落下した本は元に戻すまで少し時間がかかりそうだ。

いわき駅前の再開発ビル「ラトブ」に入居しているいわき総合図書館は書架から本が落下し、臨時休館にして元に戻した。近所の家では、3・11には無事だった屋根のぐし瓦がやられた。街なかでもグシが一部壊れている家があった。いわき市内の各地に再び、屋根を覆うブルーシートが見られるかもしれない。

安倍首相が前日、福島第一原発を視察した。そのときに地震が起きたら、つまり怖さが身に染みたらということだが、他人事ではない解決をとってくれたはず……と、小欄にコメントを寄せてくれた人がいる。いわきでは自然な考えだ。

きのう昼、画家の阿部幸洋から電話がかかってきた。26日から出身地のいわきで個展を開く。いつ飲もうか、という話になった。アトリエのあるスペインから帰国し、実家に着いたとたんに震度5強に襲われた。こちらの阿部は地震の怖さが身に染みた。

そのとき、共通の恩人である元草野美術ホールオーナー、おっちゃんこと草野健さんが話題にのぼった。阿部が私の体調を気遣うので「8割くらいはよくなった」と言うと、「おっちゃんも同じようなことを言う、『悪いところ以外は全部いい』なんてね」。

草野さんは、いわきの美術界が興隆するきっかけ、基礎をつくった人だ。昭和40年代、草野さんの経営する美術ホールには若い美術家や記者が出入りしていた。そこで阿部と知り合った。電話で話していたときには知らなかったが、草野さんはその日未明、地震のほぼ1時間後にこの世を去った。享年95。ついにこのときがきたか、という思いが強い。

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