2013年9月30日月曜日

昼の手影絵

庭から床の間の壁に光が差しこんでいた。カミサンがそれに気づいて、キツネの手影絵をつくった=写真。子どもが小さかったころ、明かりを消して、ロウソクや懐中電灯の光で手影絵遊びをしたものだ。が、太陽の反射光でもそれができるとは思わなかった。

茶の間はガラス戸をはさんで南の庭と隣り合っている。庭に車を止めている。戸を開けていると、冬でも夏でも車の反射光が家に飛び込んでくる。

今年は残暑が厳しかった。今も晴れると日中は気温が高くなる。家にはエアコンがない。暑い日は窓という窓、戸という戸を開ける。それで、お昼近くになると車の右前部あたりで太陽光線が反射し、やや上向きの角度で茶の間の片隅、床の間の壁を照らす。影もできる。同じ原理で照らされた壁に影絵をつくることができるのだ。

タイトルは忘れたが、いわき市立美術館に収蔵されている髙松次郎の作品に、幼児の頭の影を大きく描いたものがある。その絵が思い浮かんだ。あれだって、反射光で室内の壁にできた影が始まりかもしれない。

淡い光と、キツネの顔をした淡い影。そうだ、影の代わりに虹色を映すこともできるのではないか。髙松次郎の次に思い浮かんだのは、いわき市の現代美術家吉田重信さんの作品だ。吉田さんは自然光を利用した仕事をしている。“日光のいたずら”がその原点だったりして。

私たちはうつろってとどまらない光学的世界に身をおいている。影絵であれなんであれ、いかにそれを楽しむか、だ。

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