2013年10月19日土曜日

鼻水が垂れる話

庭のホトトギスが次々に花をつけている=写真。10月も、はや中旬の終わり。日中は暑くても、日が沈むと寒気に包まれる。今週に入って、朝、鼻水が垂れるようになった。夜の食卓兼机代わりのこたつをオンにし、長袖シャツの上にベストをはおった。秋冷の気に、いよいよホトトギスの花が冴えかえっている。

今週、たまたま連続して双葉郡の空き巣の話を耳にした。これらも鼻水が垂れるくらいに寒々しいものだった。

広野町は出入りも、寝泊まりも自由になった。が、夜は怖くて泊まれない、という。聞けば、家が空き巣被害に遭った。いわき市で暮らすのが便利なので帰らない人も多いが、防犯面から帰還をちゅうちょしているのだという。

その空き巣が、富岡町の例だとかなりみみっちい。1階も、2階も荒らされた。醤油や革靴、衣類まで盗られた――と話すおばあさんがいた。いわきで避難生活を送っているから、最近か、ずっと前かはわからないが、一時帰宅をしたときのことだろう。

震災で店のシャッターの柱が折れ、閉まらなくなった。そのすきまからしのびこんだという。四本足の生きものが悪さをしないとも限らないが、衣類までは……。

もう一例。一時帰宅をしたら、わが家からテレビを抱えて出てくる隣のじいさんと鉢合わせをした、という話も伝わってきた。じいさんは一時帰宅をしていたが、まさか隣家の人も同様に一時帰宅をするとは思わなかったのだろう。

震災直後、外国メディアは日本人の我慢強さや忍耐力、助け合いや思いやりの精神を称賛した。一方で、2011年の双葉郡内の空き巣被害は前年の約30倍、20件から594件に急増した、という新聞記事に、なにが思いやりだ、なにが助け合いの精神だ、と思ったものだ。

出入りが自由になると空き巣が増える。懸念されたとおりになっているようだ。お天道様はお見通しだし、星はなんでも知っている――ということを知らない人間が増えてきたのだろうか。

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