2013年10月31日木曜日

二ツ箭の雲

日曜日(10月27日)、草野心平記念文学館のカフェで昼食をとった。文学館は丘の上にある。眼下に小川の里が広がる。そのうしろに里を守るようにでんと立っているのが、男体、女体二つの岩場に分かれた頂きをもつ二ツ箭山。

山頂の上に綿雲が浮かんでいた=写真。「おうい雲よ/ゆうゆうと/馬鹿にのんきさうぢやないか/どこまでゆくんだ/ずつと磐城平の方までゆくんか」。青空に浮かぶ綿雲を見ると、決まって山村暮鳥の詩を思い出す。次から次に現れては去っていく。ふもとを覆う黒い影が動いている。この影もまた綿雲だ。

山の背中から肩口を巻くように駆け下っているのは、東電の広野火力発電所の送電鉄塔。送電線はこのあと夏井川をまたぎ、三和町の新いわき開閉所に接続する。

原発事故のあと、国土地理院の電子地図で福島第一原発(双葉・大熊町)、同第二原発(富岡・楢葉町)、広野火発(広野町)からの送電線が、どこを通って首都圏に向かっているのか確かめた。送電線は海岸部から西の阿武隈高地に向かい、そのあと山中を南下していた。

田村市都路町古道に南いわき開閉所がある。いわき市三和町中寺に新いわき開閉所がある。東電の両施設は送電線でつながっている。電気の交差点だろう。

過酷事故を起こした第一は発電所としての機能を喪失した。間一髪で危機を回避した第二は冷温停止状態にある。すると、両原発はどこから外部電源を手に入れるのか。

2012年1月中旬、南いわき開閉所でトラブルが発生した。報道によると、瞬間電圧低下で第一、第二の使用済み燃料プール冷却装置などが一時停止をした。関東など広範囲で瞬間的に停電が発生し、工場では機械の稼働に問題が生じた。東北電力の女川原発の使用済み燃料プールの冷却ポンプも一時停止をした。

東電と東北電の送電網はつながっている。東電の電気でトラブルが起きたとしたら、それは広野火発から供給されたものではないか。

3・11の前と後では、同じ風景でも見方が違うようになった。送電線と鉄塔は自然景観を損ねる人工物には違いないが、原発事故収束に欠かせない“動脈”でもある。二ツ箭山の送電鉄塔を見るたびにトラブルなど起きないように――と、胸のなかで手を合わせる。

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

関東基地の送電編成でしのいでいると推測する。電源逆流です。

4号機の燃料取り出しが11月から開始すると報道されている。1300本余り 1本10トン 水中での作業 どんなクレーンの離れ業で作業をこなすのか?事故なく。もんじゅの二の舞になったら日本は終わりだろうか? 心配ないといつもの会見だろう。

それ以上に気になることは、プールにヒビが入っていて水が漏れ出したら、またメルトダウンするそれも1300本余りが溶け出し回収不能だろう。余震も心配だ。

廃炉に40年かかるという。民主党が当時「およそ」でいったことだ。ほんとのところはチェルノブイリのように100年単位ではないのか?
子供たちのセリフじゃないが、生きていないから関係ないのか?