2013年12月21日土曜日

交通死亡事故

白い実線・破線・点線、黄色い実線などのほか、さまざまなマークが道路に標示されている。わが家の前を東西にのびる通称「旧道」(旧国道6号)でも、ちょっと離れたところだが、あるとき、7本の白い線が引かれた=写真

わが家の前はどうか。道路中央と両側の縁石のそばに計3本、白線が引かれていたはずだが、今はほとんどかすれて見えない。そちらも事情は同じだったろう。

白線のゾーンができたのにはわけがある。1年2カ月前、そこで交通死亡事故が起きた。

小雨が降って薄暗くなった夕方、小1の男児が道路を渡ろうとして車にはねられた。その直後にたまたま車で現場を通った。縁石のそばに男児が横たわり、かたわらで若い男性がケータイを耳に当ててかがんでいた。男児は事故から約20時間後に亡くなった。5歳の孫に体つきが似ていた。

事故の新聞記事を切り抜いて、手元に置いてある。ときどき、読み返す。肉親が、友人・知人が、地域の住民が、ある日突然、この世から拉致(らち)されるように逝ってしまう。それはあってはならないことだ、人は交通事故で死んではいけないのだ、という思いをあらためて胸に刻むために。

駆け出し記者のころ、毎日のように交通事故の記事を書いた。追突事故を起こしたトラック運転手が、荷台の木材に押されてひしゃげた運転席とハンドルにはさまれ、意識を失ってぐったりしているところも見た。彼はついに息を吹き返すことはなかった。今もその光景が忘れられない。

そうしたもろもろが、人は交通事故で死んではいけない、という思いに結びついている。

おととい(12月19日)の夜、いわき市渡辺町で軽乗用車がセンターラインをはみ出して大型トラックと衝突し、若い母親と幼い子ども2人の計3人が亡くなった。事故のむごさに言葉もない。と同時に、取材した後輩記者の胸の内に触れて、若いときの自分と、身近なところで起きた去年の交通死亡事故を思い出したのだった。無性に孫を抱きしめたくなっている。

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