2013年12月29日日曜日

キノコの話を食べる

いわきキノコ同好会(冨田武子会長)の総会・勉強会・懇親会がきのう(12月28日)夜、平・レンガ通りの田町平安で開かれた=真。約20人が出席した。今年1年、いや体調を崩して去年は総会を欠席したから、この2年間のキノコ事情を知るにはいい機会になった。

懇親会ではあいさつ担当ということで、3・11後、口にする機会が減ったキノコの代わりに、キノコの話を食べて楽しみたい、と呼びかけた。20人の体験談から、いわきの海岸から阿武隈高地までの菌界の様子が“3D”になって浮かび上がってきた。

だれもが気になるのはキノコの放射線量だ。同じ場所でも種によって測定値が異なり、同じ種でも場所によって極端に値が違ってくるから、一般化して論じるわけにはいかない。以下は、体験談の個別・具体例(単位は省略して話しているので、キロ当たりと推定)。

食菌のウラベニホテイシメジは、地表よりやや深いところから出てくるので、ベクレルはわりあい低い。地上から株になって現れるセンボンシメジ(シャカシメジ=いわき市川前町産)は200、土壌は5000ベクレルあった。

いわき市北部のマツタケは、2011年70、12年90、13年200ベクレルと、年々高くなっている。70ベクレルあったコウタケを塩ゆでして一晩おき、測り直したら数ベクレルまで低くなった。それをさらにゆでて測ったら値は検出されなかったが、コウタケの命である香りは失われた。

その関連で、ネットで全村避難を継続している葛尾村の広報紙12月号に出合った。村内のキノコなどの線量が載っている。たとえば、イノハナ(コウタケ)。「生」で最大8115、「ゆで」で最大1287、「乾燥」で2万1772とあった。

遅まきながらわかったのは、単位の1キロという「分母」の違いだ。「乾燥」が1キロになるには「生」の何倍もの量が必要になる。当然、キロ当たりのベクレルは「生」より「乾燥」が高い。1本1本の線量は変わらないのだから、乾燥したら凝縮されたとか、線量が高くなったとかではないのだ。「分母が違う」という話に、蒙が啓(ひら)かれた。

ある会員は、わがふるさと・田村市常葉町の仕事先で、採種された大量のイノハナ(コウタケ)に出合い、キノコに目覚めた。砂浜に発生する珍菌ケシボウズタケの実物を持参した会員もいる。市街地の公園にキタマゴタケとヤマドリタケモドキが発生していたことも報告された。灯台下暗しで、都市公園もキノコ観察地としてバカにできない。

多くの「キノコ目」がとらえた阿武隈高地の、平地の、海岸のキノコたちがいとおしい晩になった。

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