2014年1月10日金曜日

あや と まちこ 展

 40年余のつきあいがあるまちこさんが展覧会の案内状を持ってきた。娘のあやさんと1月25日から2月2日まで、東京・世田谷区赤堤のGARAGE・Bで2人展を開く。ギャラリーは小田急線経堂駅北口徒歩10分のところにある。ドライフラワーを使ったオブジェ=写真=を展示する。
 
 いわきでは1970年代、平の「草野美術ホール」をフィールドに、一気に美術が花開いた。10代~30代の表現者が次々に現れた。ホールの事務室は芸術論、文学論がとびかうサロンと化した。洋画の松田松雄、山野辺日出男、阿部幸洋、峰丘、陶芸の緑川宏樹、……。そのサロンの一員にまちこさんがいた。結婚後は精神病院で絵を教えた。ユニークな絵を描く患者の個展も実現した。本人は日本画風の作品を手がけていた。
 
 東日本大震災で原発がはじけた。人は、かつて経験したことのない災禍を生きなければならなくなった。その危機的状況とどう向き合ったらいいのか。答えのひとつが、社会を見つめ直し、自分を生き直す力ともなる創作に取り組むことだった。

 彼女とは別に、草野美術ホール時代は高校生だった人間も、3・11を契機に、四半世紀余にわたって中断していた表現活動を再開した。発災した年の夏、彼から突然、個展の案内状が届いた。危機バネが創作への衝動を生んだ。
 
 まちこさんは1年前にいわき芸術文化交流館「アリオス」の2階カフェで作品展を開いている。作品がドライフラワーのリースかアレンジメント風なのは、あやさんと始めた花屋の仕事が影響している。植物たちの色と形、におい、触感、その他もろもろから刺激を受けているのだろう。若いときには、自分の人生のなかで花屋をやるなどとは考えられなかったことだ。

 ふだんは、カミサンのところへ遊びに来る。用事で留守だった。久しぶりに青くさい話をした。草野美術ホール時代を思い出した。「オレは、このごろ自分のことを『19歳の老少年』ということにしている。大人になりきらない19歳のとき、最も深く悩み、考えたからなぁ。今、それが一番必要なんだ。あんたも『19歳の老少女』でいけよ」

 首都圏の方々、もし時間があれば、放射能の災禍に生きる福島の、いわきの人間の作品と向き合っていただけるとありがたい。

1 件のコメント:

issei matsu さんのコメント...

震災後にそういう芸術活動する人増えてきましたか。もっともっと若い精神のある(昔の)
少年少女よ、発信しましょう。
未来ある子供たちのために。
いや昨夜の遅くのEテレでの福島のために復興でなく若い人が「福島を良くするために・・・」と発言したのですが、良かったです。