2014年1月11日土曜日

年寄り半日仕事

 家で飼っている猫がときどき舌を出す=写真。老いた証拠だとカミサンはいう。ネットで調べると、そうとはいいきれない。猫かわいがりをするカミサンがそばにいるので、緊張がゆるんでいるのかもしれない。毛づくろいに疲れたのかもしれない。
 
 人間は老いると、舌を出す代わりに口を開けて“コタツムリ”になる。コタツムリという言葉は、正月早々、中学校の同級生の娘さんに教えられた。こたつに入って“きどころ寝”(服を着たままの仮寝)をしている状態をカタツムリにたとえたのだろう。秀逸な比喩だ。
 
 そのコタツムリでも、半日くらいは仕事をする。いつも決まっているわけではない。が、住んでいる地域(行政区)の仕事、所属するいわき地域学會の仕事を軸に、春~夏は非常勤の仕事、秋~冬は年1回発行されるいわきの雑誌「うえいぶ」の仕事が加わる。カミサンの家業(米屋)の手伝いもある。
 
 で、半日はこたつをデスクにし、半日はコタツムリになって本を読んだり、きどころ寝をしたりしている。
 
 現役のころに比べたら、仕事の時間は半分になった。いや、時間的にはそうだが、自分と向き合っているだけなので能率、集中力はアップしている。朝から夕方までのフルタイム勤務のときでさえ、集中力を必要とする時間は限られていた。だらだらした時間帯があった。そのことを考えると(年金生活者だということもあるが)、集中して仕事ができる時間は半日、それで十分だと開き直っている。
 
 それを、プロスキーヤー・冒険家の三浦雄一郎さんは「年寄り半日仕事」と表現している。本のタイトルにも使っている。おととい(1月9日)、カミサンが新聞折り込みのタブロイド紙でこの言葉を見つけた。80歳でエベレスト登頂に成功したのは「ゆとりある日程」、つまり「年寄り半日仕事」を守ったためだという。
 
 ことわざだというが、『ことわざ大辞典』にはなかった。でも、いい言葉だ。コタツムリとともに、新しく頭の引き出しに入れた。カミサンもすっかりこの言葉を気に入ったらしく、ゆうべは、9時には「年寄り半日仕事」と唱えて寝室に引っ込んだ。このごろ、「お休み」するのが早い。半日しか体力がもたないという意味も、この名言にはあるようだ。

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