2014年1月28日火曜日

自助と共助

 家が壊れるような大地震が発生したら――。まずは「自助」。机の下にもぐり込むなどして、自分の身を守らないといけない。次は近隣住民の「共助」が必要だ。家が倒壊するような大地震のときには、道路は寸断されて使えない。警察も、消防もダメージを受けて戦力が低下している。「公助」はほとんど当てにならないのだという。

 先日、いわき市消防本部で自主防災会のリーダー研修会が開かれた。地震発生や気象災害のメカニズム、自主防災組織の役割、災害時要援護者の事前対策などの講話のあと、丸太に服の袖を通して担架にする方法や、家の下敷きになった人を助けるときの心構えを、消防隊員の訓練を通して学んだ=写真

 倒れた家具などに体が長時間圧迫されていると、その部位が挫滅し、毒素が発生する。この毒素が、救出による圧迫開放で血流にのって体内をめぐり、心臓に至って急性心不全を起こすことがある。「共助」の場合に留意しなければならない点だという。阪神・淡路大震災で建物の下敷きになり、救出時には比較的元気だった人が、間もなく容体が急変して亡くなる、ということがみられた。いわゆるクラッシュ症候群だ。

 建物の下敷きになった人の救助訓練は、消防本部の4階テラスで行われた。閼伽井岳から寒風が吹き下ろしていた。素人は一刻も早く被災者を助け出したいと考えがちだが、こんな寒風が吹き荒れているときにはかえって体温を奪いかねない。建物と人との間にすき間をつくったら、そのままにして(建物が防寒の役目を果たす)、救急車の到着を待つのが賢明だという。
 
 この種の研修会は、記者時代には「傍観者」として居合わせるだけだった。が、今は自主防災会の「当事者」として参加している。責任がある。臨機の知恵、応変の技術は、一度や二度の研修で身に付くものではない。地域の、自分の“防災力”が問われる――そんなことを自覚する研修会になった。

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