2014年1月5日日曜日

「二鷹」が来た

 きのう(1月4日)の午後、街へ出かけようとしたら、「ピッ、ピッ」とか「キッ、キッ」とかいう鳥の声が降ってきた。庭のカキの木からヒヨドリが飛び立った直後だ。音源を探ると、西隣のアパートの前、アンテナの上に鳥が止まっていた=写真
 
 ヒヨドリよりは大きく、カラスよりは小さい。ハト大だ。もしかして……。車から急いでデジカメを取り出す。逆光なので黒い塊にしか見えないが、モニター画面で拡大すると、くちばしがカギ形になっていた。猛禽! モズではない、チョウゲンボウだ。
 
 縁起のいい初夢は「一富士二鷹三茄子(いちふじにたかさんなすび)」。初夢どころか、本物の鷹がわが家の隣にやって来た。(オオタカやハヤブサではないところが、少しあれだが)
 
 ざっと1年前まで、毎日、夏井川の堤防を散歩していた。そのときに、何度かチョウゲンボウを撮影している。3・11後は、鳥どころではなくなった。単純に空をながめる、雲をながめる、川を、海を、山をながめる、ということが減った。朝晩の散歩時だけが、唯一、自然とつながる時間だった。体調を崩してからは、車で堤防を行き来するだけになった。
 
 その車で移動するだけなのに、最近はよくタカ類を目撃する。昨年11月初旬には双葉郡富岡町でオオタカらしい猛禽と出合い、同じ月の末には平の郊外でチョウゲンボウとノスリに遭遇した。そのあとも何度か、車の行く手に現れた。
 
 ワシ・タカ類は「百鳥の王」。食物連鎖の頂点に立つ猛禽をよく見かけるということは、そのえさが増えているということだろう。
 
 事故の起きた原発がある双葉郡では、人間が避難していなくなったために、大はイノシシ(イノブタ)から小はネズミまで、大繁殖しているという。オオタカやチョウゲンボウなどは小動物、とりわけ小型の鳥やネズミを狩る。ネズミが増えれば天敵も増える道理で、それがいわき地方にも波及して、タカ類をよく見かけるようになったのだろうか。
 
 そうではあるまい。そこまではいってないだろう。チョウゲンボウを「庭に来る野鳥」のように撮影できるのはうれしい。としても、自然と人間の関係が崩れた双葉郡の、阿武隈高地の自然環境にも思いをめぐらさないではいられない。

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