2014年1月8日水曜日

除染と積雪

 雪が積もると除染が難しくなる。正確な測定値が得られなくなるからだ。定点のモニタリング結果がそれを裏づける。おととし、平成24(2012)年2~12月の、いわき市小川地区の資料がある。測定値がグラフ化されている。戸渡(とわだ)地区だけは、欄外に「2月及び3月は積雪があります」と注が入っている=写真
 
 いわきは、面積だけは小豆島を除いた香川県といい勝負だ。市としての面積が日本一のころは、最も狭い県の香川とよく比較して論じられたものだ。東に太平洋が広がり、西に阿武隈の山々が連なる。そのため、東から西へハマ・マチ・ヤマの三層構造になっている。冬は晴れた日が多い。「サンシャインいわき」を自認するゆえんだ。とはいえ、ヤマは冬季、雪に覆われる。
 
 戸渡地区4カ所のうち、最も線量の高い「旧分校前」――。2年前の2月は毎時0.60マイクロシーベルトを切り、3月は0.70~0.80の間だったのが、雪が消えた4月には1.00を超えている。雪が土や水と同じように、放射性物質を遮蔽していた。
 
 セシウム134が2年余りの半減期を過ぎた今、「旧戸渡分校」は文科省のリアルタイム線量計で0.32台だ。昨年12月17日までは0.35前後で推移し、20日正午に0.28まで下がったあと、今の線量をキープしている。線量低減には雪が関係しているのかもしれない。
 
 阿武隈高地は冬、会津地方ほどではないが、地域によって銀世界になる。いわきの田人、三和、川前、小川といった山間部がそうだし、もっと北の田村市、葛尾村、飯舘村などがそうだ。
 
 除染作業に従事している知人と正月休みに茶飲み話をした。「飯舘村では除染作業が中断している」という。理由は積雪だ。葛尾村へ除染に通っていた別の人間も、今は楢葉町で仕事をしている。
 
 除染の遅れに住民はいら立ちを募らせている。福島県内の首長選で、かろうじて面目を保った相馬市を除き、現職落選が続いている。住民のいら立ちが現職批判となってあらわれたかたちだ。除染の遅れがこのまま続けば、4年後は当選組が同じ批判にさらされる。
 
 夏井川渓谷にある隠居(無量庵)で全体除染が行われたからいうのだが、除染には遅れだけでなく、内容についての不満・トラブルもある。作業を進めるにあたっては、事前にこまかく詰める必要がある。そのことはあとで。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

ソビエト時代、農村地帯にある核製造基地で汚染水が川に流れる事故があった。政府は10年後に公表した。流域住民はその間、何も知らず水を飲み牛乳を飲みそして野菜や肉を食べていた。
その後施設で爆発事故もあり、70キロ先まで放射能が舞い降りた。

一帯では今も高レベルの線量がガイガーカウンターを鳴り響かせ立ち入り禁止となっている。

政府は、除染ではなく地域を放置する立ち入り禁止を選んだ。

そして40年後のあいだ、住民は放射能で苦しみ目を覆う健康被害が相次いでいる。

放射線量は、今のフクシマと比して変わらない。となれば、今は良しとしてもこれから先目に見える被害を福島の住民は被るのかもしれない。 
未来の子供たちは守らなければならない!

匿名 さんのコメント...

中間貯蔵施設の是非をめぐる話しがこれから活発になるだろう。

きのう石原環境大臣が双葉町の出張所を訪ね町民の理解を得られるようにと町長にお願いした。

中身は非公開。そのあとのインタビューで町長は「大切なふるさとをなくしてしまうのは町民の理解が大切」とか?

ニュースではそれしかわからなかった。

デリケートな問題だから非公開なのだろう?
ここの町だけではない地権者だけではない日本の問題だと思う。

沖縄のような問題をここだけに負担させるのはどうなのか? 国は尖閣と領土問題に熱心だが、その40倍の飯館村は人が住めない日本の領土と化している。

ガラス張りで透明性を担保にした進め方をしてほしい。よそ者かもしれないが、この先何十年とこの近くに住んで生きる生活者は風評に苦しめられないためにも!