2014年2月11日火曜日

屋根を滑る雪

 きのう(2月10日)のこと。屋根に積もった雪がダンスをしている。あっちでドスン、こっちでドスン。太陽に暖められて、屋根を少しずつ滑って、せり出した雪の板=写真=が、自分の重みに耐えかねて落下する。その音が東から、南から、西から聞こえる。2階の物干し場にもドスン、ドスン。茶の間の空気が揺れる、揺れる――家の周りでマッスルミュージカルが行われているような感じだった。

 きのうのいわき民報によると、8日未明から9日早朝まで降り続いた雪は、いわきの常磐・湯本で最大28センチに達した。「市内で記録に残る最深積雪28センチ(小名浜、大正5年1月)に匹敵し、98年ぶりの積雪となった」という。平地では“100年に一度”クラスの大雪だったわけか。

 すると、山間部はそれを上回る積雪になったことだろう。孤立している家、集落があるかもしれない。ハマ・マチ・ヤマの三層構造であるいわきには、複眼的な想像力が求められる。ヤマの雪はどうだったか、注意を払わないといけないと、阿武隈を出自とする私が、すっかりいわき人になったもう一人の私にいう。

 半世紀以上も前の話だが、小学3年の冬休みに祖母と喜多方市の親類宅に泊まったことがある。朝起きると、雪の上にさらに雪が30センチも積もっていた。雪国ではたった一晩でそのくらいは降る。雪国ではないが、それなりに根雪を見て育った人間にも、驚きだった。今度のいわきの雪も記憶に残る“豪雪”になるかもしれない。

 この土・日・月は腰を痛めたこともあって、“たこつぼ”にこもっていた。きのう、資料のコピーに近所のコンビニまで2回往復した。歩道に残るザラメ雪を踏みながら進むと、介護サービス会社に勤める知人に会った。「開店休業ですよ、お年寄りを乗せてスリップ事故をおこせないですから」という。

 そのスリップ事故が多発した。いわき民報によれば、いわき中央・東・南3警察署管内で、8日正午から10日午前11時までに計103件の人身・物損事故が発生した。けさも庭の雪や水たまりはガチガチに凍っている。足がとられかねない。車がツツツーとゆきかねない。雪に弱いいわき、大雪の後遺症はもうしばらく続きそうだ。

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