2014年2月2日日曜日

神谷と草野

 夏井川の左岸下流域に住んでいる。水源はわがふるさと、阿武隈高地の主峰・大滝根山。河口はわが住まいのある神谷地区の隣、草野地区。週末には水源と河口の中間、夏井川渓谷の隠居(無量庵)で過ごす。それで、川を軸にしてモノゴトを考える癖がついた。「地域」を「流域」としてとらえると、上・下流のつながり、食文化や生態系の違いなどがみえてくる。
 
 ところが勝手なもので、川をめぐる想像力は自分の住む地域で止まっていた。下流を意識するのは、秋に地区の青少年育成市民会議が主催する「歩こう会」のときくらいだ。夏井川の堤防を、ごみを拾いながら河口部の沢帯(ざわみき)公園まで歩き、昼食をとる=写真。夏井川の水の流れがそこで終わる。それでも、下流の“苦悩”には思いが至らなかった。

 先日、神谷・8行政区、草野・9行政区の区長さんが参加して、合同新年会が開かれた。夏井川は、河口が閉塞している。そのため、行き場を失った水は隣の仁井田川まで、海岸と並行する横川を逆流して太平洋に注ぐ。そのうえ、東日本大震災では50センチ以上も地盤が沈下した。大雨になるとすぐ水がたまる。夏井川の河口を早く開いてほしい――海寄りの草野地区の区長さんの話が胸にしみた。

「水に流す」という言葉がある。流れてくるものには敏感でも、流したものにはあまり注意を払わない。2年前に実施した「生活空間環境改善事業」、つまりは通学路などの除染作業がそうだった。下流の住民と自然に対してすまない思いを抱きながらの作業となった。下流の区長さんの話から、そのことを思い出した。

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