2014年2月22日土曜日

光は春、風は冬

 いわきの平地では、先日の大雪がすっかり解けてなくなった。風がやめば、明るい春の光が降りそそぐ。わが家の庭のスイセンも、間もなく花を咲かせることだろう=写真。とはいっても、このところ雪が降り、寒風が吹きつのって、つぼみのままの状態が続いている。

 近所の家では、師走のうちに庭のスイセンが咲いた。日本画家でもある奥さんが手折って持ってきてくれた。

 暖冬だったのが、立春を迎えて一変した。ドカッと雪が降り積もった。寒い春になった。4日に雪が降り、8日にも、14~15日にも雪が降り、平地では雨になって道端の雪を解かした。

 それからきょう(2月22日)で1週間。人に会えば雪の話になる。東京の西の方ではまだ校庭に雪が残っている、とKさん。阿武隈高地の川内村でも、いわきに近い国道399号沿いの山中で養鶏業を営む風見さん夫妻は雪で閉じ込められた。きのう、平のスーパーで会った奥さんは「孤立」ということばを強調していた。
 
 阿武隈の山中を南北に縦断する国道399号はアップダウンがきつい。いわき分はやっと除雪が済んだところらしい。風見さんの家はその国道からさらに山の中へ入ったところにある。道に60センチほど雪が積もった。奥さんは買い物にも出られなかった。
 
 この欄で何度も言っているが、いわきを見る“物差し”がある。ハマ・マチ・ヤマの3層構造だ。市域面積の6割は中山間地(ヤマ)だが、そこに住む人は7%にすぎない。いわきの人口は平地、なかでもマチに集中している。そのため、マチの文化や風土がいわきを代表するものとしてとらえられがちになる。
 
 典型が氷柱(つらら)だ。いわきのヤマでは冬、屋根に氷柱ができる。ところが、平地ではめったに見られない。阿武隈で生まれ育った私は、子供のころ、長い氷柱を棒でたたきこわし、かじったり、なめたりした。
 
 いわきのマチの光は春でも、ヤマの風はまだまだ冬だ。同じいわき市でも、雪とたたかっている人たちがいることを忘れてはいけないと、自分に言い聞かせる。

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