2014年2月26日水曜日

BS放送

 2009年秋に同級生と還暦を記念して“北欧修学旅行”を敢行した。スウェーデンに住む旧友に会うのが目的だった。その足でノルウェーのフィヨルド=写真=を観光した。デンマークの人魚姫にも会った。
 
 旅先での感動が忘れられず、その後も台湾、ベトナム・カンボジアと同じ仲間で出かけた。余韻がずっと続いているというべきか、BS放送の旅番組をよく見る。地デジの番組がつまらなくなった反動でもある。団塊の世代の多くは、そうしてBSにチャンネルを切り替えているのではないか。
 
 電通が先ごろ、「2013年 日本の広告費」を発表した。インターネット関連だけでなく、衛星メディア関連の広告費が伸びている。背景のひとつに「BSは『中高年層』を中心に、視聴の習慣化が進展し、CS、CATVは『富裕者層』を中心に視聴者層が拡大」している、とある。後半部分は知らないが、前半部分は容易にうなずける。
 
 晩酌が始まると、BSの番組をチェックする。ニュースの時間でも、旅か自然の番組を選ぶことがある。「また北欧!」「また台湾!」「またベトナム・カンボジア!」「また自然!」。必ず甲高い声が響く。ときには、機嫌を取るためにカミサンの好きなフランスかイタリアの番組にする。
 
 日曜日(2月23日)夜7時。BSジャパンの「ヨーロッパ水風景」を見た。「またノルウェー!」だ。女優の原沙知絵さんが旅人になって、ノルウェーの北極圏最大のまち・トロムソを散策し、オーロラや郷土料理を楽しんだ。トロムソまでは行かなかったが、フィヨルドの荘厳さは画面からも伝わってきた。
 
 北欧で飲まれている強酒アクアビット(ジャガイモの蒸留酒)の銘柄リニエが出てきた。ネットで調べたら、蒸留酒を樽で熟成したものだという。黄金色をしている。港町ベルゲンの世界遺産・ブリッゲンのレストランで、同級生がなめて上機嫌になったアクアビットは、これだったか。
 
 アクアビットはラテン語の「アクアヴィテ」(命の水)からきているとか。ウイスキーも、ウオツカもそれぞれの言語の「命の水」が語源らしい。ついでに調べたら、フランス語で水は女性名詞だが、ワインは男性名詞(ウイスキーも)だ。
 
 そのへんからの飛躍――酒の語源として、「薬=命の水」という面はあったが、いつしか男どもの勝手な解釈が、カミサンに対する言い訳が広く浸透して、「酒=命の水」に切り替わったのではないか。「命の水」が血管をめぐるなか、旅番組から刺激を受けて痴的な空想を楽しんだ。

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