2014年3月16日日曜日

ドキュメント72時間

 これまたいわきを舞台にしたテレビ番組だ。NHKの「ドキュメント72時間<福島 早春のスーパーから>」=写真。3月14日深夜に放送された。いわきに本社のあるスーパー・マルト草野店で、2月7日昼から10日昼までの3日72時間、買い物客に話を聴いた。

 いわきは2月8日、珍しく大雪に見舞われた。翌9日・日曜日には家の前の旧道(旧国道6号)に除雪車が出た。その旧道沿い、車で5分もかからないところにマルト草野店がある。雪の映像に、一瞬、どこかよそのマチのスーパーではないかと思ったほどだ。

 番組予告にこうあった。「福島県いわき市。原発に向かう街道沿いに、『あの日』以来、売り上げを大幅に伸ばしているスーパーがある。主力商品は弁当や総菜。夕方になると、仕事帰りの原発作業員や除染作業員たちが大勢押し寄せる(以下略)」。いつも行くマルト草野店にちがいない。そう思って見たら、図星だった。

 <72時間>の最初の昼。旧知の女性がインタビューに応じる。同じ行政区の前役員だ。孫に唐揚げをつくってやるので材料を買いに来たのだという。次に現れたのは近所のご夫婦。会ったことはないが、話にはよく聞く別のご夫婦も登場した。
 
 夕方。カメラが作業服姿の男性を追う。除染作業に就いているという。事故をおこした原発に通っている、島根県出身の男性もいた。買い物かごの中身は、私がちらっと見てきた例でいえば、弁当と晩酌用のアルコール・つまみ程度だ。コンビニにでも入るような感覚で、毎日、買い物に来ているのだろう。
 
 一市民としては、レジ待ちをしながらあれこれ尋ねるわけにもいかない。そこを、テレビが代わって突っ込む。番組を支えているのはこの突撃性だ。が、NHKスペシャルのように重くはない。市民の日常に光を当てながら、それぞれの人生をスケッチする。人によっては少し掘り下げる。絵にたとえれば、淡い水彩画。
 
 マルト草野店は、大規模スーパーとしてはいわき市内で最も北に位置する。新旧国道6号の間、主要地方道いわき浪江線(通称・山麓線)沿いにある。震災・原発事故が発生したときには、この山麓線が双葉郡から避難してくる車で数珠つなぎになった。スーパー近くの草野小、次いで隣接するわが生活圏内の平六小が、その人たちの避難所になった。
 
 あれから3年。いわきは原発と原発避難者を取材するメディアの最前線基地になった。NHKだけでも3月1日朝、「週刊ニュース深読み」がいわき明星大を会場に生中継された。ラジオ第一の「すっぴん!」も、3月11日には特別企画「アフター3・11スペシャルfrom福島県いわき市」を放送した。
 
 きょう(3月16日)は午前10時から、NHK「明日へ」で「あの日」から1カ月間のフラガールの証言記録が放送される。夜にはNHKスペシャル「メルトダウンFile4」がある。番組や記事のよしあしが身近なところからわかるようになった、とはいえるだろう。

1 件のコメント:

issay matsu さんのコメント...

やはりそうですか。前に一回行きまして懐かしかったです。この番組は定点観測で、実によく人を撮ってますね、前から見てますが、これからも番組表をよく見てみます。