2014年3月19日水曜日

松枯れ進む

 夏井川渓谷のシンボルは岩盤に生える赤松。広葉樹がまだ冬眠している今、赤松の鮮やかな緑が際立つ。モミの濃い緑も、赤松とすみ分けるように点在する。その赤松が再びおかしくなってきたということを、2013年12月10日の小欄に書いた。

 阪神・淡路大震災と地下鉄サリン事件が起きた平成7(1995)年ごろ、渓谷の斜面の赤松はまだ元気そうだった。が、やがて松葉に黄色いメッシュが入り、“茶髪”が増えて、樹皮の亀甲模様がはげ落ちた。
 
 白い幹と枝だけの“卒塔婆”になってから十年余。今度は松枯れ被害を免れた若い松に茶髪が見られるようになった。ブログに書いてから3カ月が過ぎた今、その赤松の緑は黄色いメッシュから全体が茶色に変わりつつある=写真
 
 木に詳しい人間が言った。「松が岩を囲むように三段になっている。最高の組み合わせだけど、岩の上の松が……」。そういわれれば、岩盤に生え出た赤松はそれ1本ではない。岩を囲むようにして5~6本はある。
 
 渓谷の美は春のアカヤシオ(岩ツツジ)と秋の紅葉、そして岩と赤松を組み合わせた“日本画”だ。渓谷で最も美しい一角が「点睛」を欠いた。別の尾根の赤松も茶髪になりつつある。松枯れはそれで終わるのか、さらに広がるのか。心配は尽きない。

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