庭の柿の木に鳥がやって来る。常連はスズメ、ヒヨドリ=写真、ムクドリ、カラス。たまにメジロ、シジュウカラ、アオジ。この前はウグイスが現れた。今年初めてのさえずりに、すぐ茶の間からカメラを向けたが、枝が邪魔してすべてがピンボケだった。
木曜日(4月10日)午後、BSプレミアムで映画「眠狂四郎勝負」を見ながら、「老侍の加藤嘉、昔から老け役だったなぁ、この悪役だれだっけ」などと思っているうちに、まぶたがくっついてしまった。
カミサンの話だと、軽くいびきをかいていたらしい。そのうち突然、ガバリと起きて窓の方を見た。「トッキョキョカキョク……」。庭の木にホトトギスが来て、一声鋭く鳴いた。そう思った。「にしても、今は4月。ずいぶん早いな」と、瞬時にいぶかしんでもいた。
「ホトトギスが……」というと、「テレビ!」。テレビには広い野原が映っていた。その情景の効果音としてホトトギスの声が流れたのだ。それを、夢うつつのなかで庭の柿の木に来て鳴いたと、錯覚したのだった。わきで大笑いがおきた。村野四郎の詩「霊魂の朝」を思い出した。
…「霊魂を食べて ふとるのよ」
というこえが どこかでしたので
急に胸が悪くなって目が覚めた
厨房の扉があいていた
母親が痩せたむすこに もういちど
…「ベーコンを食べて ふとるのよ」
と言っているところであった
まこと肉と霊とのだんだら模様の春だ
ユスラウメが咲いている
ベーコンと霊魂。テレビと庭を行き交うホトトギス。わが心のなかでは、確かに庭の柿の木に来て鳴いたのだ。うれしくなって、目が覚めたのだった。
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