2014年4月18日金曜日

松ケ岡公園へ

「ハサミを研ぎに行かなくちゃ」というので、カミサンを車に乗せて街へ出かけた。いわき駅に近い本町通りの刃物店(仮設店舗)に着くと、もぬけの殻だった。震災後、近所から南の通りへ移って、コンテナハウスで営業を続けていた。移転・再開の紙が張ってあったという。オープンが翌日ではそこへ行っても空振りだ。
 
 本町通りは磐城平藩時代にできた。城下町の目抜き通りで、東西にまっすぐ延びている。そのまま家に帰るのもシャクなので、同じ通りの西端、スカイストア内に移転した交流スペース「ぶらっと」へ寄った。

 ちょうど昼時。「ぶらっと」のスタッフに会ったあと、ストアで弁当を買い、近くの松ケ岡公園へ車を走らせた。

 公園下の駐車場のわき、JR常磐線沿いにある明治の歌僧天田愚庵邸前の小園庭で弁当を広げた。ベンチにすわってもぐもぐやっていると、スーパーひたちが通り過ぎていった。シダレヤナギが芽ぶいている=写真。どこからかウグイスのさえずりが聞こえた。

 小学校の低学年のころ、バスではなく自分の足で出かけるほんとうの「遠足」があった。なんだかそのときのことを思い出した。遠足気分と言いたいところだが、顔を見合わせれば現実に戻る。カミサンも、私も、ん十歳だ。日だまりの猫のように過ごす時間が増えた。

 腹を満たしたあと、うながされて急坂を上った。丘の上に公園がある。平の桜の名所で、満開の時期は過ぎていたが、花見の宴を開いている若いグループや、園内を散策する母子連れがいた。安藤信正公の銅像を見上げていると、さっと風が吹いて花吹雪が舞った。

公園を訪れるのは震災後初めてだ。遊具が取り払われて、中央がぽっかり空いていた。桜の花に代わって、初夏にはツツジが咲く。そこでまた弁当を開くのもいいか。

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