2014年4月27日日曜日

山里の売り家

 カミサンの同級生の家がいわきの山里(三和町)=写真=にある。本人は首都圏に住む。うしろの山と畑付きで売りに出した。引き合いはある。足を運ぶ人もいる。建物や自然環境は申し分ない。が、職場のあるふもとのまちまで遠い、不便だ――という理由で、まだ成約には至っていない。

 平のまちから好間川沿いに山を駆け上がり、脇道に入って峠を越えると小盆地に出る。田んぼを囲むようにして家が散在している。前にも訪ねたことがあるので、迷わずに着いた。

 庭のカーポートの屋根がおじぎをしていた。2月の大雪で2本の支柱が根元で折れたのだという。あのときは、平地でも除雪車が出た。
 
 敷地内におばさんの家がある。ここも空き家だ。中のものを始末していい、ということになって、カミサンに声がかかった。カミサンは衣類のリサイクルに慣れている。仕分けが始まれば「運転手」の出番はない。家の周りをぶらついて時間をつぶすことにした。

 県道からの進入路のそば、山に続く土手の上にクリ林がある。元は畑だった。イノシシのラッセル跡があった。空からかすかにタカの声が降ってきた。2羽が空を舞っている。すぐ写真を撮り、あとでパソコンで拡大したらノスリだった。敷地に沿う小さな水路の土手には、摘みごろのクサソテツ(方言名コゴミ)が茎を伸ばしていた。

 その夜、BSプレミアムで「まるごと知りたい!AtoZ さあ行こう!里山ワンダーランド」を見た。舞台を三和へ移していうと、カミサンの同級生の実家は里山の資源に満ちた山里にある。

 仕事に疲れたら散歩に出る。クサソテツを摘んで、ゆでて食べるのもいい。ノスリを仰ぎ見ながら、食物連鎖や自然の生態系に思いをめぐらせるのもいい。インターネットを利用して「在宅ワーク」ができる若者こそ、山里暮らしをしてほしい。そう思った。

 山里の西方の稜線には、東電広野火力発電所の送電鉄塔が立つ。それもまた、人間を鍛えるリアルな風景の一部だ。

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