2014年5月22日木曜日

ホオノキの白い花

 夏井川渓谷はすっかり青葉に覆われた。よく見れば、まだ薄紫色のフジの花が垂れ、ミズキの白い花が葉の上に浮かんでいる。わが隠居(無量庵)の庭のホオノキも、白く大きな花をつけた=写真。長い葉が放射状にのびている。ホオノキの花はその中央で天を向いて咲く。真下からは見えない。
 
 日曜日(5月18日)、庭のはしからなにげなく周りを眺めていたら、隠居の屋根の上に1、2個、白い花が浮かんでいた。近距離でホオノキの花を見るのは初めてだ。大きい。香りも強いらしい。写真をパソコンに取り込み、拡大すると、花の近くに黒い点々があった。芳香に誘われてやって来た虫たちが羽音を鳴らしているにちがいない。
 
 昨年(2013年)の師走に行われた除染作業では、折れたキリの太い枝と根がはがれてかしいだ高田梅が除去されたほかは、庭木はそのまま残った。花は高田梅からはじまり、カエデ、シダレザクラ、コバノトネリコが終わって、今はホオノキ、キリが花盛り。エゴノキはこれからだ。
 
 大きなニュースが飛び交っている。パソコン遠隔操作の青年が墓穴を掘って保釈を取り消された。きのう(5月21日)は大飯原発3、4号機再稼働差し止めの1審判決が出た。事故をおこした福島第一原発では、海への地下水放出が始まった。
 
 そうしたなかで、朝日の特報「吉田調書」第2弾と、共同の調査報道「全電源喪失の記憶」をじっくり読んだ。共同の連載記事では、東電本店の緊急事態に対する認識の甘さ、想像力の欠如に腹が立った。東京にある本店と原発との距離が離れすぎているから、そうなるのだ。東京は福島の現場を全然わかっていない――。
 
 カッカしたときには庭の草花を見ることだ。といっても、きのうは嵐に近かったが。

渓谷のホオノキはやがて果実をつける。果実にはマーブルのような種子が眠っている。せめて渓谷へ出かけたときには、そうしたものに目を見張る「センス・オブ・ワンダー」で自然と向き合いたい。

0 件のコメント: