2014年5月29日木曜日

新緑の磐越東線

 夏井川渓谷を通過する磐越東線の列車(電車ではない)は、上下合わせて一日に9本。最寄りの駅は江田だ。わが隠居(無量庵)の前を通過する時刻は、その江田駅の出発時刻からプラス・マイナス3分といったところだろうか。

 時計代わりでもある。たとえば、いわきからの2番列車(下り)は朝9時1分に江田をたつ。無量庵の前を通過するのは同4分ごろだ。逆に、郡山からの2番列車(上り)は9時15分ごろ、隠居の前を通過し、同18分江田をたつ。そのあとは、午後1時半すぎまで列車の運行はない。列車が通過するたびに、今9時すぎ、今午後1時半すぎと、おおよその時間がわかる。

 4月末、V字谷は冬枯れた裸木が若緑や臙脂(えんじ)色のパステルカラーに染まりつつあった。1カ月後の今は、濃淡・深浅入り乱れた緑色に包まれている。その中を、2両編成のディーゼルカーが走る=写真。3両、いや4両のときもあるようだが、乗客はいつもまばらだ。
 
 5月25日、日曜日早朝。街から車で駆け上がり、隠居の庭で土いじりをした。朝めし前に1時間ほど体を動かすと、もうすることはない。カミサンは朝食後も庭に出て、スギナほかの草むしりに精を出した。私は家の中でラジオを聞きながら本を読んだ。

 列車は、午前中は上下各2本しかない。10時半ごろ、いわき行き3本目の列車が通過した。あれ、この時間帯にもあったっけ――一瞬、「?」が頭の中に点滅する。「青い列車が通ったわよ」。あとでカミサンから聞いて納得した。臨時運行のイベント列車にちがいない。

 後日、フェイスブックに「磐越東線新緑号」の写真が投稿されていた。車体が白と青のツートンカラーだ。カミサンが見たのはこれだった。

 5月24~25日、JR東日本水戸・仙台支社が、この列車を運行した。2両編成、全車指定80人とかで、午前は郡山からいわきへ向かい、午後はいわきから郡山へ戻った。

 郡山―夏井間は高原状の田園地帯を走る。夏井の先から小川郷の手前までは、急こう配の渓谷を縫う。トンネルと鉄橋が多い。「新緑号」にふさわしく、V字谷は万緑、いやその半分くらいの緑が目に優しかったことだろう。

 6月14~15日は、「新緑号」と同じタイムスケジュールで「ポケモン磐越東線号」が運行されるという。今度は無量庵の庭に立って、にわか「撮り鉄」になろう。

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