2014年6月12日木曜日

電気柵復活

 いわき市の中心市街地(いわき駅周辺)から車で5分も行くと、郊外に出る。阿武隈高地の山裾に沿って水田が広がっている。

 この山裾の水田にイノシシが出没するケースが増えているようだ。わが家から夏井川渓谷の隠居(無量庵)へ行くのに、神谷(かべや)~平窪の田んぼ道を利用する。平窪の奥の青田に、今年もイノシシ除けの電気柵が張られた=写真。

 つい、人間と自然の関係について思いをめぐらせる。自然を守れというとき、それは人間が立ち入るなということではない。山里や農村の景観は逆に、人間が自然に働きかけ、手を加えることで守られてきた。イノシシの被害も、狩りを行う人がいるからこそ広範囲にならずにすんできた。

 人間と自然の関係がくずれると、荒れてさびしい自然に戻る。たちまちセイタカアワダチソウが田畑を覆う、人のいない住宅地をイノシシが闊歩(かっぽ)する、といった事態になる。

「イチエフ」から40キロ以上離れている平でさえ、イノシシの跋扈(ばっこ)に手を焼くようになった。「イチエフ」からすぐ西の阿武隈高地では、イノシシ被害がかなりの範囲に及んでいるらしい。

 去年(2013年)6月13日付の当ブログから――。阿武隈高地のど真ん中、田村市では農地の獣害対策のために新設する電気柵の総延長は約314キロに達する。事故を起こした福島第一原発から「30キロ圏内で利用される農地は、ほぼすべてが柵に囲われる」ようになる。
 
「分け入っても分け入っても青い山」ならぬ、「行けども行けども電気柵」。そんな情景を思い浮かべるのだが、現実にはまだ見ていない。

 わがふるさと・旧常葉町の一部も、旧都路村とともに30キロ圏内に入る。今年はどんなあんばいか、平窪の電気柵を見て気になっていたら、ネットでNPOが受託・運営している「田村市復興応援隊」に出合った。この6月14日に旧都路村で、田んぼに電気柵を張り巡らすボランティア作戦を実施するという。
 
 厳しい状況は変わっていない。まだまだ暮らしの場ではボランティアを必要としている。

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