2014年6月13日金曜日

屋根の上のスイカズラ

 信号待ちの間に、シャッターチャンスが飛び込んでくる。夕焼け空、旋回するオオタカ、路傍のオオキンケイギク、……。

 車を運転するときには、どんな短い距離でも助手席にカメラを置く。カメラを忘れたと気づけば、よほどの距離でない限り、取りに戻る。車で30分のところにある夏井川渓谷の隠居(無量庵)に着いたあと、カメラがないことに気づくと、さすがにがっくりくる。半分は畑仕事、半分は写真撮りに来たのだ。家に戻るまで、なんとも落ち着かない。

 それもこれも、運転中にときどき面白い光景に出くわすからだ。助手席にカミサンがいれば、カミサンに写真を撮ってもらう。自分だけなら、むろん車を止めて――となるが、郊外の田んぼ道でもないかぎり、そこまではやらない。

 信号待ちの瞬間になにかが目に入る。急いでカメラを向ける。面白い写真が撮れた。そう思えることが偶然、続いた。
 
 ある日の午後、道の両側が田んぼのT字路で信号を待っていると、空き地の砂の山のくぼみでスズメが羽をプルプルやっていた。砂浴びをしていたのだろう。急いでパチリとやって拡大したが、羽に動きはなかった。

 次の日の夕方、買い物へ行った帰り、住宅街で信号が赤になった。なにげなく周囲を見渡すと、物置らしい建物の屋根に花が咲いている=写真。とりあえずパチリとやった。

 あとで画像を拡大すると、スイカズラだった。廃屋なのかどうか、だいぶ骨格がゆるんでいるような感じ。波型スレートの壁をスイカズラのつるが這い、そのまま屋根瓦のすきまを突き抜けたのだろう。白と黄色の「金銀花」を咲かせていた。植物のしたたかさ、たくましさにあらためて舌を巻く。

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