2014年6月15日日曜日

ヤマボウシの花

 その新聞記事には思わず吹きだしてしまった。「山の崖に軽飛行機?/樹木、尾翼と見誤り通報/秋田 正体は…ヤマボウシ」。秋田市の山中で「山の崖に軽飛行機が引っかかっている」と、110番通報があった。警察・消防・マスメディアが急行したら、正体は白い総苞片をいっぱいまとったヤマボウシの木だった。きのう(6月14日)の福島民報に載った。

 もっと詳しく知りたくて、地元紙・秋田魁新報の「さきがけオン・ザ・ウェブ」をのぞいた。共同の配信記事よりは状況がわかった。ほかのメディアの記事も読み、ストリートビューで現地の集落と山並みの様子も頭に入れた。いわきで言えば、水田が広がる平地の小川か遠野あたり、といった感じ。

 女性(78)が、家から400メートルほど離れた山を眺めると、万緑のキャンバスに見慣れない白いかたまりが2つあった。軽飛行機が墜落したのではないか。びっくりして隣家の男性(70)に知らせた。で、男性が警察に通報した、ということらしい。

 なぜこの記事に目が留まったかというと、1週間前の日曜日(6月8日)、夏井川渓谷でも何カ所か、万緑の斜面に白いかたまりが見えて、やはり女性と同じように驚いたからだ。

 この時期に咲く白い花とくれば……。記憶の引き出しを開けてヤマボウシとすぐわかったが、だれだってきのう、あるいは1週間前までそこになかったものがあるとびっくりする。ヤマボウシの花、正確には小さな丸い花のかたまりを飾る4枚の白いシルクのような総苞片だが、それが葉の上に、雪のように広がっている様は壮観だ。

 夏井川渓谷では、平野から溪谷へ移るとっかかりの磐越東線上小川トンネルと磐城高崎踏切近くの谷に、格好の被写体となるヤマボウシが自生している。今が満開だ=写真。わが隠居(無量庵)の対岸にも白い総苞片のかたまりが見える。

 女性の早とちりを非難してはいけない。ほんとうにびっくりするくらい葉が白く覆われるのだから、遠目には白い尾翼と映っても不思議ではないのだ。

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