2014年6月21日土曜日

さくらんぼもいちだんとうまかった

 近所に双葉郡から避難している老夫婦がいる。奥さんがちょくちょく遊びに来る。おととい(6月19日)は会津土産だといって、箱詰めのさくらんぼ=写真=を持ってきた。ありがたくちょうだいした。

 初物なので、小さな仏像を置いた“仏壇”の前に供え、晩酌のデザートにした。パクパクやっていると、「また明日」――デザートを取り上げられた。ゆうべも、さくらんぼをデザートに晩酌を始めようか、と思っていたところへ電話がかかってきた。全国紙の社会部の記者だった。

 カミサンがNGOの草分け、「シャプラニール=市民による海外協力の会」のいわき連絡会を引き受けている。今度の震災で初めて国内支援に入った。いわきで被災者のための交流スペース「ぶらっと」を運営している。その関係から、去年(2013年)、情報収集を兼ねてわが家へやって来た。

「ぶらっと」の新しいスタッフと連絡を取りたい、という。そうか、ずっと被災地の取材を続けているのだ――うれしくなって、少し話した。こういう記者とは仕事を抜きにして酒を酌み交わしたくなる。遊びに来るように言ったが、ひまがあるかどうか。

 よそからやって来て、パッパッパッと取材してすぐ帰る「狩猟型」の記者がいる。地域に溶け込んでじっくり取材する「農耕型」の記者がいる。その中間の「定来型」だろうか。

 水曜日(6月18日)、カミサンが「ぶらっと」の新しいスタッフを、津波に襲われた薄磯地区へ案内した。そのとき、たまたまテレビ長崎の記者2人と出会った。長崎は原爆、福島は原発――継続して取材を続けているのだという。こちらも「定来型」だろう。

 そういえば、震災の年、薄磯の隣・豊間地区に休日に取材に来ている新潟日報の若い記者がいると、知り合いの大工氏が言っていた。今も「定来」を続けているのだろうか。

 背負っている新聞社やテレビ局の看板ではない。要は記者のこころだ。個別・具体だ。ゆうべは、酒も、デザートのさくらんぼもいちだんとうまかった。

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