2014年6月28日土曜日

畑のキノコ

 例年だと、今ごろはマメダンゴ(ツチグリ幼菌)を食べている。3年前の2011年6月25日付小欄「マメダンゴ掘り」から――。
               ☆
 夏井川渓谷の無量庵でマメダンゴ(ツチグリ幼菌)掘りをした。青葉が陽光を遮る、苔むした庭の一角。かがみこみ、ふわふわした苔を手で圧(お)す。苔の下の土中に幼菌が形成されていれば、そこだけ硬い感触が手のひらに伝わる。

 ン?となったら、指で土の中をまさぐる。コロッと丸い幼菌が姿を現す。小石のときもある。が、たいがいはマメダンゴだ。そうやって、苔に手型を押し続ける。30個くらいはすぐ採れる。

 無量庵の庭でマメダンゴが採れるとわかったのは、一昨年(2009年)の梅雨どき。ヒトデのように外皮の裂けたツチグリの成菌を発見してからだ。一般的には、ツチグリは真砂土(まさど)が露出した山道ののり面などに発生する。わが無量庵のように、苔むした庭に出るのは珍しい。
                ☆
 去年(2013年)の師走、庭で除染作業が行われた。苔と天然芝ごと表土がはがされ、山砂が投入された。

 菜園を再開すると、ヒトヨタケの仲間らしいキノコが発生した=写真。除染後初めて見るキノコだ。それに刺激されて、記憶がよみがえった。今ごろはマメダンゴを、いながらにして採っていたのになぁ――。

 マメダンゴは炊き込みごはんにしたり、採りたての絹サヤと一緒にみそ汁にしたりする。外皮の「こりこり」と、中の“白あん”の「ぐにゅっ」が何とも言えない。が、この阿武隈高地の珍味も3・11後は幻と化した。

0 件のコメント: