2014年6月29日日曜日

内山節著作集

 震災の年の7月、農文協東北支部から電話がかかってきた。昭和62(1987)年暮れ、『日本の食生活全集⑦聞き書福島の食事』が出た。わがふるさとの現田村市常葉町が<阿武隈山地の食>の舞台として取り上げられている。そのPRに、私の勤めていたいわきの新聞社へ営業マンがやって来た。その後、電話がかかってくることもあったが、21世紀に入ってからは初めての「生の声」だった。

「季刊地域」2011年夏号が出た。特集は「東北(ふるさと)はあきらめない!」。「ぜひ紹介を」「ブログでよければ」となって送られてきたあと、毎回、本屋から「季刊地域」が届くようになった。むろん、有料だ。

 その延長で、先日、『内山節著作集』(全15巻)の発刊を知らせるパンフレットなどが届いた=写真。

 内山さんの本は、30代前半から読んでいる。2歳年下の哲学者で、『山里の釣りから』に引き込まれた。以来、『労働の哲学』『労働過程論ノート』『戦後思想の旅から』『時間についての十二章』『存在からの哲学』『森に通う道』『森の旅』『自然と人間の哲学』『哲学の冒険』など、内山さんの著作・関連本は欠かさずそろえるようにしている。今も座右に『新・幸福論』(新潮選書)がある。

 特に感銘を受けたのは『自然と人間の哲学』(岩波書店)だ。自然と人間の関係を、自然と自然、自然と人間、人間と人間の3つの交通から論じている。阿武隈の山の中で生まれ、雑木林を巡るのを「週課」としていた人間には、内山さんの自然哲学が大いに納得できた。

 全15巻の構成は――。これまで出た単行本が軸になっている。買わなくてもいいか。最初はそう思ったが、単行本に収められていない文章も入っている。例えば、週刊誌「エコノミスト」に連載していた「月曜の手紙」。そのほか、未読の文章も多い。「単行本があるでしょ」といわれたが、やはり全部を読んでみたい気になった。

 ところで、ファクスで注文することにしたが、これが何回やっても「送信できませんでした」になる。紙が動かない。直接、本屋に注文するしかないか――そう思いながらも、今朝、再び試すと3回目で送信できた。雨は降っているが、晴れやかな気分で夏井川渓谷の隠居へ出かけられる。きょうはホタルブクロを写真に撮ろう。

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