2014年7月3日木曜日

カネは内藤 下がり藤

 夏井川渓谷にある隠居(無量庵)の庭が全面除染され、山砂が敷き詰められたことで、植物の芽生えをゼロから観察できるようになった、と思えば楽しい。

 地下茎で増えるスギナが、猛烈な勢いで山砂の世界を緑に染めつつある。表土を5センチほどはぎとったくらいでは、スギナの地下茎はびくともしなかった。菜園には生えてほしくない。が、雨が降れば山砂が流される。スギナはそれを防ぐはたらきもする。

 ある日、東側の庭に黒い“碁石”がばらまかれていた。見ればフジの種子で、冬にさやがはじけたらしい。雪が積もり、雨が降って、“碁石”が半ば山砂に埋もれかけたあと、芽を出した。気づいたときには幼い羽状複葉が広がっていた=写真。

 無量庵の庭では、カエデがたくさん芽を出す。カミサンがときどき実生をポット苗にする。育ちが早い。本気になってポット苗づくりをしたら、「カエデの苗木屋」になれるかもしれない。

 フジもカエデ並みに繁殖力が強い。庭の一部に、集中的に芽が出ていた。実生をこのまま放置していたら、フジだらけになりそうだ。フジはやがて近くの木に巻きついて、木をしめ殺す。フジのジャングルになって自滅する、という図が浮かぶ。

「カネは内藤、下がり藤」といわれたのは、昔、磐城平藩を治めた内藤氏。「下がり藤」はその家紋からきている。幕末の殿様は、逆に「上がり藤」の安藤氏。そうそう、話題の映画「超高速!参勤交代」は磐城平藩内藤氏の分家、湯長谷藩が舞台。フジの実生から「下がり藤」を連想し、まだ見ていない映画のことを思い出した。

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