2014年7月30日水曜日

フランス産キノコ

 きのう(7月29日)の夕方、フランスから乾燥キノコが届いた=写真。送り主は若い女性写真家デルフィーヌ・パロディで、日本語(平仮名)で近況が書かれてあった。去年の晩秋に会ったときには、日本語での会話はままならなかった。ずいぶん努力したのだろう。

 プロヴァンス産のキノコだそうだ。水にさらしたあと、オムレツやグラタンの具にするとおいしいらしい。最後に「おくちにあえばいいのですが…」とあった。つつましさ、奥ゆかしさは日本人以上ではないか。

 ネットで調べると――。トロンペット・ド・ラ・モール(死者のトランペット=和名クロラッパタケ)といって、アンズタケの仲間だ。炊き込みごはんにした人もいる。さっそく、ぬるめのお湯につけて細かく刻んだあと、炊飯直前だった米に加えた。

 和名通り、全体に黒っぽい。湯につけてもどした感じが、裂いたコウタケに似る。味も、歯ざわりも「コウタケごはん」に近かった。ということは、日本のキノコと比較するまでもなく一級品だ。

 デルフィーヌは今年2月18日から3月28日まで、ドイツのベルリン日独センターでドイツ在住の芥川賞作家多和田葉子さんと、詩と写真展「アウト・オブ・サイト」を開いた。

 彼女とは震災1年後の2012年5月中旬、被災者のための交流スペース「ぶらっと」(当時はイトーヨーカドー平店2階にあった)で会った。「ぶらっと」のスタッフRさん、ボランティアのTさんとともに、われわれ夫婦も彼女と親しくなった。

 彼女が津波被災者や原発避難者の取材を重ねて1年が経過したころ。作家の多和田さんと、写真と詩のコラボレーションの企画が持ちあがった。多和田さん自身も昨年の8月、Tさんの案内でいわき・双葉郡、その他の土地を巡った。

 暮れにはTさん母娘と一緒に、デルフィーヌが夏井川渓谷のわが隠居(無量庵)へやって来た。落葉が進む渓谷林を巡った。そのなかで、私がキノコの話をしたのかもしれない。彼女の心遣いに感謝しつつ、久しぶりになんの心配もなくキノコの炊き込みごはんを食べた。うまかった。

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