2014年8月23日土曜日

カラスウリ

 夏井川渓谷の隠居(無量庵)は去年(2013年)暮れ、庭が全面除染された。芝生と菜園の表土が5センチほどはぎとられ、あとに山砂が敷き詰められた。小学校の分校の校庭か、保育園の園庭のようになった。

 当面、草刈りをする必要がなくなった――と思ったのは冬だけ。春がきて、梅雨に入ると、スギナが繁殖し、つる性植物が下の空き地から這い上がってきた。

 表土が除去されたあとも、地中に球根や地下茎が残っていたのだろう。スギナのほかに、スイセンやササが姿を現した。こぼれ種から芽生えたものもある。なかでも、始末に負えないのはつる性植物だ。クズ、センニンソウ、ヘクソカズラなどがマントのようにほかの草を覆っている。ママコノシリヌグイ、ヤブガラシもある。

 キカラスウリ=写真=には一瞬、ドキッとした。葉の形が侵略的外来植物のアレチウリに似ている。ついにわが隠居にも⁈――と嫌な気持ちになったが、ネットでよく調べたら花が違っていた。カラスウリは木にからまるもの、土を這うのはアレチウリと決めつけていたのも、誤認の原因のひとつだった。

 もうひとつ、変わったものではジュズダマがある。スギナにまざって点々と生えている。カミサンがお手玉用にと植えたのが勝手に増えた。シソもそのままにしておいたら、立派に葉を茂らせた。

手をぬけば庭はたちまち草だらけになる。隠居の庭に立つたびに、家と庭があっても手をかけられない双葉郡の避難民のこころを思う。

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