2014年9月1日月曜日

ハスの実を食べる

 ハス(蓮)の実=写真=を、初めて生で食べた。味はクリに似る。生のクリは硬いが、ハスは軟らかい。やわらかくてクリに似た味の植物の実があったような、なかったような……。

 きのう(8月31日)の日曜日。ある公園で弁当を食べていたら、自転車の男性がやって来た。

 目の前にハス池がある。あずまやもある。その辺一帯を清掃しているのだという。といっても、誰かに頼まれたわけではない、勝手にやっている――ひょうひょうとした雰囲気から、そんな感じを受けた。
 
 きのうはたまたまその時間が遅れたのか、近くで祖父と遊んでいた幼児が「じいさん、きょうは遅いね」といいながらやって来た。部活帰りの中学生も現れた。子どもたちには知られた存在らしい。
 
 清掃を続けていても、毎回、ちょっとしたごみはあるという。このごろは長い竹の先にくくりつけた鎌で、盛りが過ぎて汚れたハスの花や茶色くなった蜂の巣状の花托を片づけたり、刈り取ったりしているようだ。
 
 その男性と、「ハスの実はうまい」という話になった。確かに、台湾で食べたハスの実の砂糖漬けは甘納豆みたいでうまかった。いやいや、生がうまいのだ――という。
 
 さっそく、実演してくれた。花が散ったばかりで、まだ蜂の巣状になっていない花托を刈り取り、指をギュッと差し込んで、緑色の実を取りだした。それを食べようとしたら、「待った、殻をむかないと」と注意された。緑色の殻は簡単にむけ、白くツルンとした実が現れた。それを食べるのだという。食べたら、冒頭のような食感を得た。
 
 その瞬間、アジアではハスが重要な役割を果たしているのではないか、「ハスの文化圏」といった視点が成り立つのではないか、と思った。
 
 台湾はむろん、ベトナム、カンボジアと、同級生と“修学旅行”をした国はハスの国だった。バングラデシュもそうだろう。国花はスイレン(睡蓮)。いわきで震災の支援活動を続けている国際NGO「シャプラニール」は、ベンガル語で「スイレン(睡蓮)の家」。ハスと睡蓮の違いはあるにしても、同じ水生植物、「蓮華」だ。仏教もまた、「泥沼に咲く蓮華」ではないか――。
 
「子どもたちには食べさせられないけど、おれたちはもう年だからね」。そういいながら、彼はにやりとした。私も、カミサンも同意した。

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