2014年9月18日木曜日

サンマの刺し身

 いつもの魚屋さんへカツオの刺し身を買いに行ったら、店頭に出ているはずの「かつお」の立て看がない。店内にしまってあった。
 
 3連休まんなかの日曜日、わが地区と隣接する地区の市民体育祭が1週間遅れで行われた。そのあと、各行政区で反省会が開かれた。この時期、カツオの刺し身のない飲み会は考えられない。翌日は敬老の日(9月15日)。この日もカツ刺しの注文が多かったはずだ。
 
 半ば品切れを承知で魚屋さんへ出かけた。「(カツオは)ない?」。いちおう尋ねると、若だんながすまなさそうにうなずく。「あるのはヒラメ、マグロ、それにサンマ」「サンマ! いいね、ヒラメ、マグロも。盛り合わせで」。今秋最初のサンマの刺し身=写真=だ。そういう季節になったのだ。
 
 前からサンマの刺し身を食べていたわけではない。生のサンマは虫がいて中毒する――そういわれていたこともあって、焼いて食べることしか知らなかった。
 
 冷温保存の技術が進んだ結果、いわきの内陸部でも飲み屋街あたりからサンマの刺し身を食べる習慣が広がり、それが家庭にも普及したのではなかったか。わが家でもサンマを生で食べるようになったのは、ここ数年のことだ。今は、手おろしをし、皮をはいだものを冷蔵便で送り、届いたら切るだけにしたサンマの刺し身の「鮮魚パック」もある。
 
 さて、と――。脂(あぶら)ののった魚は旨(うま)いという。ふと思った。「脂(あぶら)」は「月」(にくづき)と「旨い(うま・い)」に分解できる。脂ののったカツオは「旨い体」だし、サンマもまた「旨い体」だ。しかも、「旨い」と感じる、その味の奥には「甘い」がある。刺し身の「旨さ」は天然のほのかな「甘さ」でもあると、私は勝手に解釈している。 

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