2014年9月2日火曜日

住宅地のキジ

 水田と川にはさまれた住宅地を車で通りぬけようとしていたときだった。前方50メートルほどの路上に、カラスとも、ニワトリともつかない鳥がいた。カラスにしては脚が長い。ニワトリにしては体が長い。近づくと、雄のキジだった=写真。
 
 なんでこんな住宅地に? といっても、家は細道の両側にポツリポツリとあるだけ。まとまって建っているところもあるが、家の裏手は、北側が水田、堤防のある南側が畑や空き地、神社の境内だ。河川敷を主なえさ場にしているキジにとっては、やすやすと足を延ばせる空間なのだろう。
 
 その細道には、同年代の知人の実家がある。お父さんは亡くなり、お母さんは養護施設に入っている。過疎化・高齢化は山里だけの話ではない。市街地の古い住宅団地でも同じ現象が起きている。その細道沿いも例外ではない。世代交代が進んだのか、家が新しくなり、空き地も増えたような印象を受けた。

 キジは警戒心が強い。ところが、車に関しては接近してもそんなに気にしない。そっと窓を開けてカメラを向けたとたん、急に駆け足になり、あっという間に空き地の草むらに消えた。その素早さは見事というほかない。人間に狩られ続けてきた歴史がDNAに刻まれ、人間の姿を見たらとにかく逃げる――という反応が生まれたのだろう。

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