2014年9月3日水曜日

“ハスの文化史”

 ハスの花が散ったあとの花托のかたち=写真=がおもしろい。生でハスの実も食べられる。そう教わって食べた瞬間、国境を越えた「ハスの文化圏」が思い浮かんだ。

 ハスと、ハスの文化に関する情報をネットで探った。でも、やはりハスについて書かれた本を読みたい。ハスを、ハスの文化をよく知りたい――となれば、図書館へ行くに限る。事前にいわき市立図書館のホームページで、ハスに関する本をチェックした。
 
 著者・出版社は省略する。『ハスの文化史』『睡蓮と蓮の世界』『蓮』『蓮への招待――文献に見る蓮の文化史』をメモして、駅前再開発ビル「ラトブ」の4・5階に入居している総合図書館へ出かけた。

『蓮』はすぐわかった。5階の「一般・植物学」のコーナーにあった。同じところにあるはずの『蓮への招待』が見つからない。『ハスの文化史』は「出納書庫」にある。4階の「一般・園芸」コーナーにある『睡蓮と蓮の世界』はあとで探すとして、カウンターで『蓮への招待』と『ハスの文化史』の取り出しを頼んだ。

 私が渡したメモを見ながら、検索を始めたスタッフが念を押す。「『バスの文化史』ですか?」「いや、ハス」「バスですが」「あのバス?」。ハンドルを握って回すまねをすると、「そうです」。「いやぁ、まいった。それはパスです」。顔を見合わせながら、声を殺して笑った。スタッフはそのあと「一般・植物学」のコーナーから、『蓮への招待』を探して持ってきてくれた。

 江戸時代中期の俳人横井也有(1702~83年)の狂歌が頭に響いている。也有は<幽霊の正体見たり枯尾花>の元句<化物の正体見たり枯尾花>の作者だ。

「手はふるう足はひょろつく歯は抜ける耳は聞こえず目は疎(うと)くなる」。歯茎が腫れる。テレビの音量が大きいと注意される。足元もときどき、おぼつかない。今度は、目。「ハ」も「バ」も区別がつかなくなった。

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