2014年10月10日金曜日

金色のウイスキー

 ウイスキーは、ふだんは飲まない。先日、夏井川溪谷の隠居(無量庵)でミニ同級会を開いたとき、1人がスコッチウイスキーの「バランタイン21」を持ってきた=写真。生(き)でなめるようにして飲んだ。「水なんかで割ったらだめだ」。それが共通認識になっている。

 というのも――。同じメンバーで還暦記念の“海外修学旅行”を始めたとき、海外出張経験の豊富な1人が搭乗前に空港内の免税店でウイスキーを買った。お土産にするためではない。毎夜、夕食時のアルコールだけでは飲み足りない。ホテルの部屋で飲み直し、語り直すために、どうせならうまい酒、いい酒を、という旅慣れた者の知恵だった(もちろん代金は割り勘)。

 北欧(2009年)、台湾(2010年)、そしてベトナム・カンボジア(2012年)と、免税店でウイスキーを調達し、夜は“学生飲み”を繰り返した。ベトナム・カンボジアのときには、翌月、いわきで飲むために「バランタイン21」を託された。それ以来のスコッチだ。別の1人が2年間、保管していたのだろう。
 
 9月中旬、スコットランドの独立の賛否を決める住民投票が行われた。同下旬の週末、「バランタイン21」に再会したと思ったら、月曜日にはNHK総合で朝ドラ「マッサン」が始まった。極東の人間の脳内にもスコットランドの風が吹いた。「金色のウイスキー」の味がしみた。
 
「何も足さない 何も引かない」とは日本の、あるウイスキーのキャッチコピーだ。ずばり、そのまま、あるがまま。どういう意味?なんて思わせない名言だろう。「ウイスキーを水でわるように/言葉を意味でわるわけにはいかない」(田村隆一)。いい酒はいい言葉を生む。

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