2014年10月16日木曜日

川中島

 おととい(10月14日)の夏井川は、台風19号の影響で堤防中段の高水敷(こうすいしき)まで濁流に没していた。

 川の下流域では、流れが蛇行する。水量が少ないと中州ができる。川中島だ。夏井川の左岸・平中神谷に、川中島という地名がある。その名の通り、川と河川敷しかない。

 川中島の対岸・平山崎で河川拡幅工事が行われ、河川敷が広がった。岸辺にはたちまちヤナギが繁茂した。今度の大水では、ヤナギのてっぺんを除いて水没した。濁流はヤナギ林で二つに分かれ=写真、その先でまた合流する。まるで川中島だ。

 対岸の地名も水に関係している。悪戸(あくと)だという。アクツ(阿久津、圷)と同じで、川沿いの低湿地を指す。

 中神谷は江戸時代、笠間藩の飛び地だった。藩の陣屋(出張所)があった。罪人はこの川中島で処刑された。志賀伝吉著『夏井川』(1984年刊)によると、川中島は、大正・昭和になってから流路が変わり、姿を消した。その名残が渇水時になると現れる中州だろうか。

 中神谷に出羽神社がある。日曜日(10月12日)に例大祭が行われた。神輿が夏井川にも渡御する。川中島のすぐ下流部、調練場(ちょうれんば)に繰り出し、すっぽんぽんになった若者が川に入るのを目撃したこともある。

 そこには秋、サケのヤナ場が設けられる。今年も捕獲作業が始まった。大水になると、ヤナ場は水没する。きのう見たら、まだ水中に沈んでいた。

日曜日、平中平窪の久太夫橋から下流の夏井川を眺めると、ハクチョウらしい大型の鳥が数羽いた。きのうは寒かった。中神谷の夏井川にもそろそろハクチョウが飛来することだろう。川から目が離せない。

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