2014年10月26日日曜日

珍銘柄米

 孫にとって祖父母は、一面では都合のいい存在だ。親には通用しないわがままが許される。まだ5~7歳の子であればなおさら。なにをしても怒られない。なにをいっても聞いてもらえる。

 ふだん欲しいものは100円、200円のお菓子のたぐいだが、祖父母はそのくらいなら喜んで財布を開ける。他人には言ってはいけない卑語や悪口のたぐいも、祖父母はやんわり受け止める。

 先日は、カミサンが孫の顔を見たくなったのか、電話をかけたら親が連れてきた。土曜日の午後のひととき、小1と年中組の“学童保育”を引き受けた。庭でムスカリを移植するために土を掘ったり、水をやったりしたあと、段ボールやすだれ、板切れ、コンクリートブロックなどを持ち出して「米屋兼おもちゃ屋」をつくった。

「米は何を売ってるんですか」。しらばくれて上の子に聞くと、米屋の孫らしく「こしひかりです」。「はげひかりというのもありますか」。「ありません」という答えを期待したのだが、「はげひかりは高いです」。からかいのエンジンにスイッチが入ったらしい。板切れに「はげひかり1万円」「こしひかり2000円」「ひとめぼれ1990円」と書いて並べる=写真。

 調子に乗るんじゃなかったと悔みながらも、即興で孫が応じたことには感心した。

 成長するにつれて悪口やからかいの語彙(ごい)が増えてきた。「あっかんべー」から始まって、今は「はげたま」をよく口にする。わが家に来ると、決まって私の背中にまとわりついて、頭のてっぺんをぺたぺたやる。ニヤニヤしながら「はげたま!」と叫ぶのがたまらないらしい。「はげひかり」という珍銘柄米も、祖父をからかう言葉に加わったか。

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