2014年10月28日火曜日

実生カエデ

 夏井川渓谷の紅葉がピークを迎えつつある。土曜日(10月25日)には渓谷を縫うJR磐越東線の列車徐行が始まった。

 紅葉といっても、今はツツジやヤマザクラ、その他の落葉広葉樹が主役。V字谷が日を追って黄~紅色に染まってきた。カエデも少しずつだが色づきはじめた。

 渓谷の景勝のひとつ、「籠場の滝」のそばに大町桂月(1869~1925年)の歌碑がある。「散り果てゝ枯木ばかりと思ひしを日入りて見ゆる谷のもみぢ葉」。十何年も渓谷に通い続けて、ようやく紅葉は前半が非カエデ、後半がカエデ――と区別がつくようになった。桂月は、非カエデの紅葉が終わり、落葉が進んだあとのカエデの紅葉を詠んだ。

 カエデの紅葉は美しい。しかし、その生命力に手を焼くこともある。溪谷のわが隠居には敷地境界と庭に合わせて4本のカエデがある。その実生が庭のあちこちに発生する。5年後、10年後の庭を想像すると恐ろしい。その意味では、間引きを兼ねてポット苗にするのは好ましいのだが……。

 昨年師走に庭の全面除染が行われ、表土をけずりとったあとに山砂が敷き詰められた。砂浜のようになにもない状態から、春にはスギナが生え、シソが芽生えた。カエデの実生も散見されるようになった。

 赤ちゃんカエデは紅葉が早い=写真。さて、この実生をどうするか。引っこ抜いてしまおうかと考えていた矢先に、カミサンがコンビニのおでん容器を利用してポット苗に仕立てた。

 自宅の庭にはポット苗から定植したカエデが4本、ほかの木とせめぎ合うまでに育った。最初はてのひらにのるほどかわいい実生だったのが、年数を重ねてそうなった。ポット苗は、これ以上わが家にはいらない。だれかにあげるために育てるのだろう。

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