2014年10月4日土曜日

今度はレース鳩

 今度は足環のついた鳩だという。レース鳩が道路向かいの歩道で死んでいた=写真。カミサンが朝、店の雨戸を開けると目に入った。2カ月ちょっと前には同じように、こちら側の歩道でカルガモが死んでいた。「片づけて」と、しかめた顔がいっている。

 カルガモのときにも書いたが、若いころ、石森山(平)の絹谷富士では血にまみれて死んでいるレース鳩を見た。オオタカのえじきになった。そのあと、やはり同じ山の遊歩道でタカのえじきになったレース鳩を見た。

 それに比べたら、今度のレース鳩は外傷がない。死因はもちろんわからない。足環から宮城県の鳩舎の鳩だとわかったが、死んだ鳩は引き取りに来ない、そちらで始末してください、となるに決まっているから、新聞にくるんでごみ袋に入れ、燃えるごみの日に集積所に出した。

 参考までに、23年前(1991年10月)の拙文を載せる。疲れて飛べなくなっていたレース鳩をいわきの奥山(小川町・十文字付近)で保護したときの様子とその後を、勤めていた夕刊紙のコラムに書いた。
                 ☆
 人っこ1人いない小川の山奥。降り続く雨に心細い思いで車を走らせていたら、ずぶ濡れになってすくんでいる伝書バト(注:レース鳩のこと)が行く手を遮った。あっさり捕まったところをみると、体力を消耗しきって飛べなくなっていたのだろう。

 足環に記された日立の飼い主に連絡を取った。2日後、引き取りにやって来た彼の話では、10月6日朝6時、人に頼んで岩手県寄りの青森県から78羽を放した。早いのは4時間後に戻って来たが、結局、18羽が帰らずじまいだった。

 その1羽を保護したのは、青森を飛び立ってから丸4日後。今年かえったばかりの若鳥で、いきなりの遠距離には無理があったらしい。

 伝書バトの敵は猛禽類だけではない。地面に落ちているえさしか口にしないから、道に迷ったが最後、衰弱して獣のえじきになってしまう、というケースが少なくないのだという。どっちにしても行く手には死が待ち構えている。

 命拾いしたハトだって幸運とは言い難い。あんまり遠距離だと、そちらで処分してくれ、と飼い主に見放されることがある。それもこれも、レースバトとしては失格、とみなされるからだろう。

 北上高地を越え、阿武隈高地を越えて必死にはばたいていく彼ら……。悲しくもけなげな帰巣本能ではないか。

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