2014年11月12日水曜日

糠漬けから白菜漬けへ

 ある教会のバザーに出店したカミサンが、別のブースから白菜を購入した。車で迎えに行くと、荷物とともに手渡された。そうだ、白菜漬けにしよう――追加買いをし、計3玉を8つ割りにして干した=写真=あと、甕(かめ)に漬けこんだ。

 去年までは干したあとに白菜の重さを量り、食塩の量を決めていたが、今年はそんな面倒くさいことはやめた。切り割った白菜に振りかける塩の量を手が覚えている。目でもわかる。台所を理科の実験室にすることはない。

 白菜は、手に持った感じでざっと5キロ。食塩はその3~5%として、150~200グラムだ。これも目分量で準備した。手元にユズがないので、いわき産のミカンの皮を風味用に使う。だし昆布でうまみを、唐辛子で殺菌効果を狙う。ミカンの皮はみじんにし、昆布と唐辛子は適当に刻んだ。下ごしらえはいつもの通り、塩加減もいつもの通りだ。

 1年中、漬物を欠かさない。夏場は糠漬け、冬場は白菜漬け。その切り替え時期はおおよそ5月初めと11月初めだ。

 今年は真夏、糠床に異変がおきた。虫がわいたり、糠床の表面と漬けた大根が黒ずんだりした。乳酸菌より雑菌が多くなったのだろう。大震災もなんとかしのぎ、10年近く生きてきた糠床だが、そのためにいろいろ手を加えてはみたのだが、事態はよくならない。
 
 代々受け継がれて100年、200年になるという糠床ではない。とはいえ、わが家のなかでは唯一、歴史を重ねている“お宝”だ。残念だが、白菜漬けを始めたのを機に、見切りをつけて、来年新しく糠床をつくることにした。

 毎日、糠漬けが食卓にのるためには、ふだんの手入れが欠かせなかった。かきまわすだけでは足りなかった。糠床がやせて疲れていれば、糠を、塩を加える。殺菌や味を良くするために唐辛子を、昆布や塩サケの皮などを入れてやる――といったケアが必要だった。
 
 飛行機や新幹線から糠床まで、大事なのはふだんのメンテナンス、それがあって初めて「当たり前」が保たれるのだと、あらためて知る。

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