2014年11月17日月曜日

障子の影

 いわき市暮らしの伝承郷で「澤田仲子と仲間たちのパッチワークキルト展」がきょう(11月17日)まで開かれている。カミサンの知り合いが出品しているとかで、運転手役をおおせつかった。

 園内の旧川口家では、小中学生による「絵で見るいわきの民話展」が開かれていた(16日で終了)。女性ばかりの観覧者のなかで縮こまっていたので、気分を変えようと、かやぶき屋根の民家ゾーンにタイムスリップした。縁側の障子に映る影=写真=に引きつけられた。なんだか幼い自分がそこにいるような錯覚に襲われた。

 かやぶき屋根の家には土間がある。座敷があって、暗い納戸がある。阿武隈の山中に一軒、ぽつんとあった母方の祖母の家がそうだった。子どものころ、母に連れられてよく出かけた。今は杉林になっている。

「ばっぱの家」は旧川口家と同様、縁側と座敷が障子戸で仕切られていた。障子の張り替えを手伝わされたこともある。

 障子に影をつくっていたのは、かやぶき屋根の庇(ひさし)だ。今のプレハブ住宅と違って、昔の住宅は庇が長かった。日差しと雨を遮った。(「黒田官兵衛」では、縁側がいつも雨でびしょびしょになっている。あれではすぐ縁側が腐る――見るたびに違和感がある)

 軒下にサトイモの「芋がら」が干してあった。風が吹くと、芋がらは一斉にそよぐ。これが、家によっては大根だったり、柿だったりした。「ばっぱの家」にはしかし、柿はなかった。代わりに黒ずんだ豆柿をたたき落として食べた。

 そうだ、大人は縁側でお茶も飲んでいた。お茶請けは梅干しと砂糖のときがあった……。遠いとおい昔の記憶。

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