2014年11月19日水曜日

バングラデシュの客人

 バングラデシュの地方行政・農村開発・協同組合省の幹部だという。農村開発・協同組合総局の次官ら6人と在日大使館の経済公使が11月15、16日、いわき市を視察した。15日夜は会食に加わり(水で乾杯した)、翌16日は薄磯・豊間・四倉への道案内をした。

 バングラで「取り残された人々」の支援活動を続けているNGO「シャプラニール=市民による海外協力の会」の前事務局長がスケジュールを調整し、ベンガル語の通訳を兼ねて一行を案内した。

 シャプラは震災後、いわきの救援活動に入り、今も交流スペース「ぶらっと」を開設・運営している。シャプラに関係している縁で連絡があり、いわきの被災・復興状況を車中から説明した。

 初日は夕方、市役所に市長を訪ね、商工観光部長を交えて歓談したという。翌日は沿岸部の薄磯・豊間を見て回ったあと、道の駅よつくら港を視察し、運営団体のNPO「よつくらぶ」の理事長から道の駅の説明を受けた=写真。

 ホテルからわが家経由で沿岸部へ向かう途中、車の中から夏井川の堤防かさ上げ工事や災害公営住宅、原発避難を余儀なくされている双葉郡富岡町民の応急仮設住宅を見た。豊間では、いわき民報社発行の写真集『3・11あの日を忘れない いわきの記憶』を見せながら、大津波が集落を飲みこんだ様子を説明した。防災緑地や高台宅地造成の現場も目にした。

 津波は世界共通語の「ツナミ」でもある。ベンガル語が飛び交うなかに「ツナミ」が何度も出た。
 
 視察目的は日本と韓国の農村開発と貧困削減の経験を学ぶこと――とかで、道の駅よつくら港では農家(生産者)との関係などを質問していた。「生産者が直接品物を搬入する」「値段は生産者が決める」「震災前より客が増えた」といった話に、私も聴き入った。

 彼らへのお土産として、カミサンが東洋大学国際地域学科の子島(ねじま)進教授から届いた、『HOPE2』(いわき市海岸保全を考える会発行)の英訳版をプレゼントした。東日本大震災と原発事故に遭遇したいわき市民や双葉郡の人々、ボランティアなどの証言集で、ネットを通じて海外へ被災地の現実を伝えようと、子島ゼミの学生らが英訳に取り組んだ。

 原発建設計画が進むバングラだからこそ、原発災害の現実を知ってほしい、という思いがある。

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