2014年11月29日土曜日

「空押さえ」と「立ち枯れ」

 先日のこと。雨上がりの夏井川渓谷に山霧がわいた。東電広野火力発電所の送電鉄塔が見るみるうちに霧に包まれた=写真。上部だけ浮き出たような感じがよかった。これまで撮ってきた送電鉄塔を並べると、写真集ができるかもしれない。

 何度も小欄で書いているが、送電鉄塔に出合うと、どの電力会社のものか、どこから来てどこへ行くのか、が気になる。その送電線・鉄塔に関して「立ち枯れ」という言葉があることを、おととい(11月28日)知った。

 経産相が福島県の新知事と会談し、福島県内で発電された再生可能エネルギー買い取りを東電に求めることを明らかにした。東電の送電網を活用して、関東方面に送電する考えだという。知事の緊急提言を受けて大臣が語った(11月28日付福島民報1面)。

 震災で事故を起こした1Fは廃炉が決まり、かろうじて助かった2Fは冷温停止中だ。両原発の送電線は双葉郡の太平洋岸から西の阿武隈高地へ向かい、いわき市を経由して首都圏へ南下する。この両原発周辺の送電網と変電所は、容量の大部分が使われていない(福島民報)。

 そこに着目し、県の重要課題である再生エネを推進して大消費地に電気を送ろう、というわけだ。

 知事の提言は、県が10月に設置した有識者による「系統連携専門部会」が取りまとめた「再生可能エネルギーの接続回答保留に関する福島からの緊急提言」に基づくものらしい。ネットで出合った提言を読んでいて、「『立ち枯れ』状態」という言葉が目に留まった。「空押さえ」も知った。

「空押さえ」は、電力会社に接続申込をした太陽光発電事業のうち、実現見込みの立たないものをいうそうだ。先日、若い電力マンと茶飲み話をしていて、その量の多さに驚いた。県は、これでは後発事業が足止めを食らうとして「空押さえ」の解消を提言している。

「立ち枯れ」は使われていない送電線を指す。わがふるさと・阿武隈高地に林立する東電の送電鉄塔は、いわれてみれば確かに立ち枯れ状態だ。なんとなく複雑な気持ちになった。

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