2015年1月18日日曜日

山の向こうは雪

 いわきの平地で暮らしながら、いつも阿武隈の山の様子が気にかかる。阿武隈の山里に生まれ、育ったからだろう。

 冬場、山肌に雪がないからといって車で阿武隈のふところ深く入っていくと――。道路は曲がりくねって、日なたと日陰が交互にあらわれる。南側の道端に杉林があると、雪が解けずに圧雪状態になっていたり、凍結したりしている。これまで何度か「ツツツー」とやって凍りついたことがある。
 
 全天候型タイヤをはいた4輪駆動車でさえそうだから、ノーマルタイヤのフィットに切り替えてからは冬の里帰りを控えている。今シーズン、初めてスタッドレスタイヤをはいた。少しの雪なら山を越えられるのでは、と思っているが、やはり踏み切れない。

 阿武隈の雪情報は、テレビではなくツイッターやフェイスブックを通じて手に入れる。この一両日も川内村が銀世界になった、二ツ箭山の頂上部だけ冠雪している、水石山が雪をかぶった――写真付きの投稿から阿武隈の山々の雪の様子を想像する。そのたびにふるさとは遠くなる。
 
 いわきでは、山がそうであっても平地では雨が降っただけ、あるいは一時みぞれになっただけ、というケースが多い。そのうえ、午後になると山の雪はあらかた消えている。街を走っているかぎりは、ノーマルタイヤでも不都合はない。その油断を自然は衝(つ)いてくる。

 例年、冬場は国道6号の常磐バイパス沿いに、国土交通省平維持出張所と福島県いわき中央警察署連名で「凍結・積雪道路のノーマルタイヤ走行は道交法違反(福島県道路交通規則)」の看板が立つ=写真。スタッドレスタイヤに切り替えてからは平気になったが、去年までは看板を見るたびに罪意識を感じたものだった。

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