2015年4月21日火曜日

桜の花の下で

 夏井川渓谷の隠居の庭にシダレザクラの若木が2本ある。おととい(4月19日)の日曜日、花がほぼ満開になった。苗木をもらって植えたのが十数年前。幹の根元は径20センチほどに、こずえは平屋建ての家と同じくらいの高さに生長した。
 1週間前の日曜日(4月12日)は咲き始めたばかりだった。隠居の対岸の山は、アカヤシオ(イワツツジ)の花で全体が点描されていた。平地では花見といえばソメイヨシノだが、溪谷ではアカヤシオが主役だ。その花を見に来た人たちでごった返した。

 シダレザクラは次の日曜日が見ごろ――その通りになった。噴水状に垂れた枝に花をいっぱい付けていた。その木の下に入ると、花の傘、あるいは花のシャワーに囲まれたようだ(そう、マイ滝桜)。晴れていれば、花びらが光を浴びて透けて見える=写真。

 おととい(4月19日)、渓谷の小集落・牛小川で「春日様」の祭りが開かれた。山中の神社にお参りしたあと、ヤド(当番の家)で「なおらい」が始まった。この間、何度かケータイが鳴った(ドコモはつながる)。最後に、「孫たちが隠居に着いた」とカミサンが隠居の固定電話から言ってきた。カラオケが始まったばかりだが、みんなに事情を話して一足早く「宴会室」をあとにした。

 夕方は夕方でいわき地域学會の仕事がある。ノンアルで通さないといけない。さあ、昼ごはんを――という段になって、小2の孫がカミサンに言ったそうだ。「花見をしましょう、お花の下で食べましょう」
 
 カミサンは大喜びだ。言われなくてもやりたがるタイプだから、それゴザだ、飯台だ、食べ物だ――となって、たちまちシダレザクラの花の下に2人の孫と2組の祖父母、両親の計8人が集まった。
 
 なぜ、小2の孫が「桜の下で花見を」と言い出したのだろう。孫が2歳のとき、同じようにシダレザクラの花の下で、みんなで食事をした。その後も、ゴザを敷いてねっころがったりした。それらが脳裏に刻まれていたのか。孫には平地のソメイヨシノと、「山のおうち」のこのシダレザクラが、桜の“原記憶”になっていくのかもしれない。

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